コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

3月30日(金) 枝垂桜の下には  -日記 - -

i318.jpg  「花見」と聞いても多分に胸踊る感受性に欠けるのは、恐らくは赤緑色弱のため色彩を受容するレセプタの機能が弱いからであろう。勿論、色盲ではないので桜のピンクは判別出来るのだが、想像するだにLEDで青色が薄くなった信号も緑にあらず水色としか認識されないのと同様に桜も実際にはより艶やかで、その秀麗に預かれないが故に花見への関心が惹起されない。元より小説は殆んど手にしない事実至上主義からも美学への興味が導かれないのだとしても、それもまた自覚せぬまま刷り込まれた色彩への忌避感に由来しているのかも知れない。
 にも拘わらず人心とは不可解なもので、年々早まる満開の時期も今週一杯などと喧伝されると妙に名残惜しくなり、そこに「花見はされましたか」とのメッセージが加わり、いそいそと設営に勤しむことになったのである。
i319.jpg  ところが日程決まったのが火曜、かつ当日は年度末の金曜とあれば日比谷公園にしろ、芝公園にしろ、花も団子もとばかり優雅に会食しつつ桜香を愛出る様な豪気な店が抑えられる筈も無い。だからと言って上野公園に茣蓙を引くのは憚られ、慌て都内の桜の見処一覧と首っ引きになり、六義園に辿り着いたのは閃きを超えるものでは無かったが、同僚に依れば程近くに嘗て訪れた名古屋コーチンの店があるという。早速電話するとライトアップ中なので混雑が予想されるとの解説付きながら八席を確保出来、ここに無事開催が約束された。
 ところが今度は定例のメンバーに声掛けするものの、見事な迄に全滅である。結局主賓の手を煩わせ四方八方に募って戴き、形になったとは却って申し訳ない限りであろう。

 さて当日は、この期間のみ開放される駒込駅至近の染井門に19時集合、早めに到着したものの存外に肌寒い。しかも主賓が現れない限り参加者の顔も判別せず、確かに多分に場違いなスーツ姿の御仁も見受けられるものの、いきなり声を掛ける訳にも参るまい。
 やむを得ず暫し喫茶待機したものの、間も無く到着の報を受け寒空に及ぶと、俄かにチケットを求める隊列が数珠繋ぎに伸びていて、なる程メッカであることが伺われた。
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 日比谷や青山の如く軍用地を転用した巨大な緑地を除けば、都心の公園の多くは大名屋敷とその庭園に由来し、維新の元勲のそれが残さていても民間施設と化しているのとは好対象であろう。
 こちらは側用人の代名詞たる柳沢吉保邸跡で、中央に立派な池が配され回遊する構造になっている。結局首尾よく計五名にて散策し、正門前の巨大な枝垂桜よりも寧ろ奥まった方がライトアップで角度に依って色合いが異なり、人工的とはいえ風流であった。暗闇に光が当たっていないと葉桜なのか単なる葉っぱなのか判然としないのは、目のハンデに関わりなかろう。
 正門を後に店に着いたのは読み通りの20時。残念ながら桜には間に合わなかった後発組も合流して俄か政官報民交流と相成り、最早桜の記憶も薄れるが如くに、年度末31日を迎えてなお二次会が続いたのであった。

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