コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

3月6日(火) やがて哀しき相撲部屋  -スポーツ - 大相撲-

i292.jpg  大相撲が興行である以上、その日常拠点たる相撲部屋もまた原則として観客に開かれており、土俵を見聞するのは然程難しいことではない。
 ただ他のスポーツ・ビジネスと異なるのは、部屋は独立の法人ではなく、力士の居住空間から土俵に至るまで多くの場合、親方の個人資産に過ぎない。従って、角界最大手の出羽海や元横綱栃錦が敢えてビルの下層にマンション経営と一帯に設けた春日野の如く、縁戚による継承にあらずとも相撲部屋そのものが代々受け継げれているケースの方が稀であり、元同僚氏の御縁で千秋楽後の打ち上げに闖入させて戴いた前二所ノ関部屋も元金剛氏の定年退職を以て相撲部屋としての使命を終え、取り壊されている。或いは、親子間の承継であっても、逆にそれが故の愛憎劇の結果として、中野の元藤島~二子山部屋が看板を外されひっそりと佇んでいることはよく知られていよう。
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在りし日の旧ニ所ノ関部屋(08/9)/境川部屋視察(12/4)
 実際、元力士の手掛けるちゃんこ料理は数知れず、その中には相撲部屋跡地を活用したものもある様だが、土俵まで維持している例は寡聞にして「吉葉」以外には知らない。横綱・白鵬擁する現・宮城野部屋も移転先も激しい稽古に依って耐震基準を満たさなくなり近年、再移転を余儀無くされているが、伊勢ヶ浜一門の雄、宮城野中興の祖たる吉葉山道場以来の建屋が両国の一等地、その名も「横網」に健在とは、経営陣の尽力に頭を垂れるとともに文化財として公費を投入してなお末代にまで伝えるべき遺構であろう。まさに相撲部屋が「残った残った!」である。
i299.jpg  なかなか訪れる機会が無く実に14年振りとなるが、日替わりの出し物は津軽三味線であった。何と無く相撲甚句の方が如何にもの関係者が居並び江戸情緒らしさが伺われるとはいえ、若き姉妹のお三味もまたちゃんこに染み入るものであったか。
 構造からして嘗てはこちらがちゃんこ場だったかと思われる空間は鮨カウンターとなっており、板張りにグランドピアノが鎮座する絵柄は幾分シュールであろう。
 残念ながら春場所は白鵬、稀勢の里の両横綱は休場の模様だし、暴行問題の決着にも時間が掛かりそうだが、わが国国技たる伝統芸能に相応しい穏便な決着を、砂被りから望みたい。

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