コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

3月3日(土) 水の形  -映画 - 映画感想-

i289.jpg  妻に誘われ久方振りに朝から夫婦で新宿まで出掛けたのは映画「shape of water」の観賞である。
 メキシコ出身のギレルモ・デル・トロ監督は怪獣をそのまま"kaiju"と表記したロボット大作「パシフィック・リム」で有名だが、本作も異形の主と女性の恋愛譚という意味では取り立てて目新しいテーマではない。ただ流石に特殊メイク出身という出自柄か半魚人の生々しさが逆説的な表現だが実に現実的で、かつスパイ・アクションの要素も散り嵌めながら、取り分け細部の演出が微妙にユーモアを織り込みつつ、非常に作り込まれている感がある。
 公開間も無くとはいえ初日でもないのにぴあの出口調査に遭遇し、投票所だったら予想を撹乱させんと勢い勇んで応える処だったが遣り過ごす。満足度ランキングでは必ずしも著しく高成績では無かった模様だが、結果として見事アカデミーの作品賞、監督賞を受賞したのは、或いはハリウッドの枕営業スキャンダル騒動で超大作が忌避された影響も些かは介在したのかも知れない。
 半魚人のみならず全体像としての絵柄の美しさに鑑みれば美術賞も合点がいくのだが、意外だったのは音楽賞ではないか。
 喋れないヒロインがいきなり唄い出し半魚人と踊る、と描写すると滑稽に響くのだが、その部分だけミュージカル仕立てになるのが逆に唐突過ぎて、見事に筋に嵌まっていたのは事実である。ただそれを除けば音楽自体は特段強い印象は残さなかったのだが、丁度予告編のナレーションをしていた細野晴臣氏がキネマ旬報に連載していた映画音楽の評論を集めた「映画を聴きましょう」に再三繰り返される様に、単独で過剰に記憶に焼き付かない引き立て役である方が映画音楽として優れている、寧ろ無音楽の方がより効果的なシーンもあるとの解釈に従えば、打力に引き摺られて守備範囲が狭くてもダイヤモンド・グラブを受賞する様な話しではなかったのだろう、と納得した。
 何れにしろよく出来た映画でした。満足しました、と今更ぴあには回答する術はないのだけれど。

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