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コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

2月2日(金) 相撲は相撲取りの手に  -スポーツ - 大相撲-

i261.jpg  少なくとも八年前に、貴乃花親方が初めて理事選挙に出馬した際には、勿論曾ての洗脳騒動や親族間の不和といった芳しからぬ風評こそあれ、角界の内外を問わず一定の期待があったのは、親方間の世代間闘争たる側面を割り引いてなお、浮動票を集めて当選に至った事実が雄弁に物語っていよう。
 また北の湖前理事長が健在であられば八角政権は無く、今回理事選の北の湖勇退を以て穏便に貴乃花理事長への禅譲が為されていたかも知れないのだから、焦燥感が募ったであろう内心も忖度出来ないことは無い。
 そもそも日馬富士の暴行事件に対する貴乃花親方の頑なな態度も、世論受けを狙った戦術だとすれば策士が策にの感もあろうが、善意に解釈すれば敢えて協会内部での決着よりも司直の手に委ねて膿を出することを優先したと受領することは不可能ではない。
 ただ年初に元参院議員の池坊保子氏が、素直に受け止めれば余りに唐突に現れて、貴乃花親方への処分を下した姿を見て、もし自分が相撲取りだったら素朴な疑念として、そんなに偉そうに宣うのだったら土俵に上がってから言ってみろと、怒りが湧いたのでは無かろうか。
 それは元より森山真弓元官房長官に突き付けられた問題意識とは全く別物で、要は相撲のことは相撲取りに任せて欲しいという極めて単純な論理である。
 確かに蹴球の川渕三郎氏の様に競技出身者が"エンペラー"を称される程に実権ある高位に昇るケースの方が稀であり、野球は法曹界や官界からトップを戴き、その実は親会社の実力オーナーに采配は委ねられているし、ボクシングやプロレスリングは発足時には博付けの意味でも政治家をコミッショナーに迎えていた経緯があるから、相撲だけが例外であるべきとする大義名分は小さかろう。
 ただプロアマの垣根が非常に低く、参入障壁の小さい蹴球や籠球と比較する迄も無く、中学を出てから相撲一筋という商売は余りにリスクが高過ぎて、だからこそ有望な若者ほど大学でタイトルを獲得して幕下付け出しを狙う様になるのも道理である。勿論力士になるに当たり、何れは理事長になって相撲協会を牛耳りたいと考える御仁は少なかろうが、入門の条件として幕内まで上がれば親方株は、ぐらいの約束事は容易に想像されよう。
i262.jpg  だからこそ相撲だけは相撲取りの手にと述べるのは些か暴論であるし、何事も"硝子張り"が尊ばれる現代の気風には合致しなかろうが、わが国国技という伝統芸能と捉えれば、貴重な文化継承者たる力士こそが角界を担っていくのは、歌舞伎や能、或いは将棋や囲碁同様に自明の理であるとも言える。
 詰まるところ貴乃花親方は世論に協会の"閉鎖性"を訴えることで、皮肉にも自らを断罪した外部理事とタッグを組んだ形となり、結果として力士出身の親方衆からの支持を喪い、浮動票を全く得られない二票という惨敗に至ったと考えれば、協会の運営がより外部に開かれるべきか否かを問う以前に、改めて親方間の信頼を取り戻さなければ政権の途は拓かれまい。
 緊急避難であった、傍流の高砂一門の、更に傍流たる八角政権が定年を迎えるまで続くとは考え難く、保守本流の出羽一門からの横綱理事が当面望み薄である事実に鑑みれば、病退した二所ノ関親方に替わり理事初当選した芝田山親方という対抗馬は現れたものの、氏が八角理事長の一歳上であることに鑑みても貴乃花親方の将来の理事長候補というポジションが著しく厳しくなるとは思えない。
 極めて現実的に述べれば、栃ノ心関の優勝で出羽海部屋の暴行問題への追及の声が急速に沙汰止みになった様に、貴乃花復権への途は一重に弟子の育成如何に掛かっていよう。当面は代貸したる阿武松親方に一門の差配は委ね、部屋経営に専心し望むらくは日本人の大力士を育て、親方衆から理事復帰を望まれる立派な部屋持ち親方に返り咲くのが第一だろう。
 先ずはマフラーを短くすることから始めるべきなのかも知れないが。

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