FC2ブログ

コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

1月14日(日) リゾート法ではないけれど  -海外情報 - シンガポール-

i229.jpg  実質2日目にしてはや最終日、吹き抜けのタワーを遥かに仰ぐ優雅な朝食を経て、本邦南端のセントーサ島へとやって来た。天然の要害を転用したのか、入島口にはハリウッド風の看板が掲げられ、気分は思い切りディズニーランドである。
 実際、USJならぬUSSユニバーサル・スタジオにキッザニア、流れるプール、ゴルフ場まで揃えて島全体がエンターテイメントとは人工都市国家シンガポールに相応しい。
 視察はもうひとつの売りたる水族館からスタートするが、隣接する旗艦ホテルには巨大な生け簀かと見紛ごう壁一面に魚が泳ぐレストランや、果ては一階はそのまま水族館、二階には露天スパのメゾネット型の部屋も備えられ、水辺には高級ヴィラの群れも鎮座するとは、宿泊施設群はオリエンタルランドよりも充実感が伺える。
i230.jpg i231.jpg
 矢鱈とイルカショーと海豚の衛生管理を詳細に案内されたのは些かおもてなし過剰だったが、こちらも同様のMICE見物を経て、肝心のカジノは詰まるところここでも同工異曲であり、ただ特別応接を拝見してチップ一枚の高額に溜め息を付いたのがよい経験だった。流石に午前中はテーブルも空き気味だったが、敢えてサンズと比較すれば客層はより中華色が強かったろうか。
 そして島運営を司取るゲンティング社CEO氏のお話しを承ったのだが、最も印象的だったのは「カジノは何処でも同じ」との言であったろう。拝察した実感とも合致しているのだが、昨日のタン教授も推進初期には脅迫状やら様々な批判に曝されたと聞くし、解禁法案は極端な一党優位性のシンガポールにして賛否が拮抗した様に、カジノとは幾ら健全に繕おうとも賭博に内在する非社会的な外観を完全に払拭出来るものではなく、だからこそ「ブランド力」が鍵であり、エンターテイメントとの統合によりそれを確立するとの解説は実に腑に落ちた。「日本の方は韓国のカジノには行かないでしょう」との指摘は、一攫千金を企む様な博徒にあらずとも、賭場目当てでマカオに赴くが如くアダルト嗜好の旅は成熟社会においては成立し難くなるとの共通認識に基づいている。
i232.jpg  即ち島内を遊び尽くしたファミリーが子供達が寝静まってから忍び足でカジノに向かい得る為の大義名分がブランド力と思いきや、現実にはエンタメとカジノでは明確に客層が分かれるというのだから、ならば莫大な施設投資を伴わずとも街中にポツンと佇むカジノの方が効率が良さそうだか、それは世間体が許さず、本家ラスベガスもまた今や統合型リゾートと化している現実に鑑みれば、健全性を担保する為にも物語が必要なのだろう。

i247.jpg
何故か太り過ぎのアダムとイブが
 一人当たりGDPにおいてわが国を凌駕するシンガポールだからこそなのか、わが国への観光客も少なくないと聞くが、それがカジノに依って著しく増大するとは思い難い。
 そもそも豊かな緑も、根付き難い土壌故に定期的に植え替える徹底した管理コストを払ってなお、居住者の環境保全よりは訪れる外国人の目を意識したものであり、水が足りないと言いながら矢鱈と派手な噴水が目立つのも外国人を優先してこそ国が富み引いては国民は利益配分に預かれるという、都市国家特有の論理であろう。緑と土地を有する高額所得者も、蚊を発生させたら罰金とは過ごし易さを維持するのも楽ではない。
i245.jpg
矢張り屋上プールは印象深い
 そのコンセンサスはわが国には受け入れられ難いし、また受け入れる必要性も無いのだから、IRには3000万人に至らんとする訪日外国人の拡大に留まらず、国民にとっての現世的なメリットもまた提示される必要があろう。勿論、MICEも巨大で高級嗜好のサンズは都市部における大人の社交場であり、アミューズメント主体のセントーサは国内外からのファミリー観光を企図した地方創生型と、地域に応じたスタイルを移植するには同じアジアのシンガポールの経験則が大いに役立つことは疑い無い。
 しかしながら極端な基盤政党型で擬制された民主主義国家であるからこそ意思決定が早く、壮大なる実験場=サンドボックスたるを自認し、それを世界へのアピールポイントとし得るのは東京23区並というシンガポールの狭い国土故の好条件下に依存する要素は小さくない。従って、かの国の実験が須くわが国に当てはまるとは限らないということもまた、我々は自覚しなければなるまい。
 或いは無国籍に徹したシンガポールに対し、わが国は既存の歴史的観光資源との協闘、更にはIRそのものに外国人に判り易い異国情緒を演出する試みも一考の余地はあろう。今更富士山・芸者では無かろうとも、巨大な温泉アミューズメントは必定ではないか。カジノの源流としての丁半博打の実演や、緋牡丹お竜のギミックを誂えるというのは些か悪乗りなのかも知れないが。
 空港にて大陸へと向かう一行を見送り、"大人の修学旅行"は終わりを告げた。残るはあと半日である。

コメント

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

トラックバック

トラックバックURLはこちら
http://kayukawa.blog41.fc2.com/tb.php/3618-af70c1df
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)

FC2Ad