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コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

1月13日(土) ここは昭南特別市  -海外情報 - シンガポール-

i220.jpg  公式日程は大使公邸に幕を開ける。出向時代には印度で場違いに立派な寿司に預り、同僚からかき集めた穴子だけを賞味する大胆不敵な行動にも及んでいたが、あにはからんや配膳された器が私だけ微妙に異なり、よくよく眺める迄も無くお肉ばかりが並んでいる。おかげで朝方から食べ過ぎ、早くも便秘気味の胃腸の推移が危ぶまれたが、情報統制の行き届くシンガポールに特有の事情では無かろうものの、おもてなしの極意を見る様で恐縮するとともに幾分不気味でもある。
i221.jpg  嘗ては金融市場におけるアジアの倫敦、或いはASEANのヘッドクォーター機能を国是として生き伸びてきたシンガポールにおいて、今やIRの存在が国力のひとつの源泉となりつつある。その何れもが人もカネもモノも外国資源を如何に取り込むかが目途にあるのは都市国家特有の知恵に他ならない。
 大使館は広大なシンガポール植物園に程近い高級住宅街に瀟洒に聳えているが、街中も国策として至るところが緑に溢れている。ただその心は環境政策よりは訪れるべく外国人への保養であり、幾多の高層ビルが中空に人工植物を携えている様に、寧ろ緑を擁することが建築物のステータスを示唆している。当然に食糧自給率は低く、輸入に頼らざるを得ない野菜は食卓に登り難く、国民は総じて野菜嫌いとは親近感を覚えるではないか。
 暫く走ると行く先は等しく緑の中に佇むリークアンユー政策大学院教授のオフィス、と言ってもこちらも一軒家なのはIR導入の立役者への配慮なのだろうか。
 当地在住の元議員氏ご紹介のタン教授の解説はひと口で言えばわが国へのIR導入に当たっては高級嗜好であるべし、なのは二大IRの一方の雄たるラスベガス由来のサンズ側の意向を代弁しているということなのだろう。

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 さてバイキングの昼食後に小一時間の自由行動となったのでシンガポール初心者としてはマーライオンを拝まなくてはなるまい。公園脇にひっそり佇むミニ版が初代と説明され、流石にこれではがっかり処ではあるまいと驚愕したが、どうやらこちらはレプリカで海を向いた「ゲロ吐き」と俗称される方が本体らしい。落胆する程見窄らしくも無いが、位置を替えて見映えに配慮した結果この形に落ち着いた様で観光立国としては正しい配慮だろう。今年はがっかり仲間の人魚姫にもお目に掛かれるかは定かでないが。
i223.jpg  マリーナベイサンズを担ぐ定番の絵柄も撮影して対岸へと戻る。驚く勿れ宿泊からしてタワー1の43階とは大名旅行も窮まれりだが、午後はサンズ自体の視察である。
 カジノばかりが注文を集めるのは致し方無いとしても、IR=統合型リゾートとは会議場等のMICE、ホテル、商業施設を備えた複合観光施設であり、異様に巨大なコンベンションに先ず圧倒される。そもそも埋立地に三本の細長いタワーという構造自体、地震の無い国ならではあり、会議場も極端に柱が少ないので間仕切りも自由度が高い。韓国企業施工で早くも微妙にピサ状態との噂もあるが、対震震度4とはわが国と比べる迄も無く著しくコストは削減されよう。
 ショッピング・モールは見慣れた光景だが、奥まで歩くと蓮の花を模したのかも知れないが遠目からは四次元怪獣ブルトンにしか見えないフューチャー・ワールドが現れ親子連れで賑わっている。芸術と科学の融合たる謳い文句は端的に言えば映像に触れ得るヴァーチャル体験施設であり、オーヴィ横浜と大差無いのだが、よくも悪くも全てが人工物たるシンガポールにおいてより象徴的である。
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 折り返し真ん中に戻ると漢字ではストレートな「賭場」がひっそりと佇んでいた。デトロイトから国境を超えて闖入したのが唯一のカジノ体験であり、薄暗いゲームセンター風情にスロットばかりが並んでいる印象が強かったが、二階から見下ろすカードゲーム台が居並ぶ姿は壮観であろう。
 リゾートを掲げる以上、個に埋没するコインものよりファミリー指向、コミュニケーションを図り得るカード中心との解説は的を射ているが、不正やロンダリングを防ぎ健全性を担保する為とはいえ、監視カメラだらけの天井もまた「明るい北朝鮮」と揶揄されるシンガポールらしさを醸し出していると言うべきか。ただ出口は更に目立たぬ様にホテルへとほぼ直結しており、幾ら場内をきらびやかに飾ってもカジノ自体は矢張り明るいイメージには徹し切れないのだろう。
 なお場内はジュース飲み放題で、ラウンドワン・スポッチャのドリンクバーより豪気である。詰まりロハで入れる外国人は飲み逃げも可能なのだが、邦人は入場百Sドルと敷居が高く、外貨獲得優先の国是がここにも伺えよう。

i226.jpg  さてタワーを57階へと登れば観光名所としても名高い屋上プール、実は早朝にも単身到来したのだが、宿泊客限定のセレブ感に溢れている。残念ながら到着以来小雨続きの異常気象で、その分この空間に甚だ似つかわしくないスーツ姿でも暑くないのは助かったが、全裸になっての入水は断念した。
 再び郊外へ、今度はリークアンユー政策大学院の本体へと闖入し、亜細亜IT事情を伺う。幸い日本語のため睡魔には襲われず乗り切ったが、固定電話すら無かったので却って携帯の普及が早かった中国の様な中抜けには至らず、電子マネー等の最新技術導入には却って不利に働いているシンガポールの今を、開発独裁の代名詞たる泉下の国父・リークアンユー氏は如何に眺めておられるだろうか。元よりわが国もそれは同じだが、幸い第一次、二次産業の実物に富んでいるので、IT単独では後発に甘んじたとしてもこれらを如何に融合させるかとの発想になろう。
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 夜はこれも元先生にして今は教授たる先生のご案内で、新たな観光スポットになりつつあるアトラスバーへ。名産・名物に乏しいかの国では数少ない名を馳せる、昨日も賞味したシンガポールスリングだが、ベースとなるジン揃えでは世界有数、天井までタワーに祭り上げられており、果たして一番上は如何に調達するのかさっぱり判らない。敢えて木材を用いた豪華絢爛な装飾に包まれ、ビルのオーナー氏まで到来され、セレブ感を通り越して最早別世界だが、確かに白人比率か高くこちらもIRとは異なる高級社交場なのだろう。
 三時間睡眠のため流石に二次会には流れず、上空から光と水流の噴水ショーを賞味してお開きに。便通を経て些か下り気味のお腹を抱えて早々に睡魔に身を委ねた。

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