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コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

10月4日(水) 売られてゆくよ  -スポーツ - プロ野球-

i95.jpg  高校野球ですら複数の投手を抱えるのが当たり前の時代だから、四番・ピッチャーが初代ミスター・タイガース藤村富美男以来66年振りであって不思議ではない。打者としては一安打も完封勝利を果たすとは矢張り大谷投手兼外野手は只者ではない。 ただ実質的なわが国への惜別記念として消化試合の興業的要素が色濃かったのは、怪我で日本における最終年を半ば棒に振ったことと相俟って一抹の寂寥は禁じ得まい。
 そもそもポスティング制度の過渡期において、わざわざマイナー契約しか出来ない25歳以下の段階で、少額の売却益にも拘わらず放出するとは黙示か正式な密約かはさておき、入団時から何等かの合意があったとしか類推出来ないが、日ハム球団としてはこの五年間で相当な利潤を挙げたであろうから経営判断としては合理的と言える。
 ただ投手としてのローテーションとその間の指名打者としての出場を須く大谷選手の出場を優先してラインナップするという特異な起用法は米国では望むべくはなく、幸いにしてDHの無いナ・リーグに身請けされたとして、猛烈に打撃に秀でた投手として扱われよう。
 現に大リーグではわが国では既に江川卓氏を最後に絶滅種となした年間数発の本塁打を放つ投手も現存しており、それはそれで大谷選手に通算本塁打数を超えられた際に「自分は投手としての36本」(他に代打で2本)と自負していた様に得難い存在には違いないものの、代名詞となった「二刀流」とは異なろう。
 金銭的な利得以上に、より過酷でハードルの高い最高峰に挑戦したいという運動家の心理は理解出来る。しかしながら野茂氏やイチロー選手といった先駆的な稀有な例外を除けば、海を渡った選手の大半が確実にわが国に残した足跡に比して小さな実績に終始しており、猫も杓子も米国を目指すのが合理的な道筋であるとは到底思えない。
 元より国粋主義者であるべしと薦める積もりは無いが、如何な大谷選手と謂えども常人には到達し得ない記録を積み上げる為には、本邦職業野球を全うしようという怜悧な計算は働かないものだろうか。
 欧州や南米も含め彼我の差が甚大過ぎる他協議ならばいざ知らず、少なくとも世界第二位の地位は揺るぎない職業野球においてなお、恰も米大リーグへの出奔を称揚するが如くマスメディアの姿勢は、興業としての経済効果の大きさに鑑みるまでも無く、わが国経済に決して正の効用を与えまい。今更「二番じゃ駄目」と宣ってみても、正力松太郎翁の「米国に追い付け、追い越せ」という謳い文句に、こと職業野球の世界にて具現性があると信ずる牧歌的な輩は居まい。
 勿論、米大リーグで投手として相応の成績を挙げ、なおかつ代打で登場する大谷選手の姿は、日本国民にとって愉しみな想像には違いない。にも拘わらずなお、プロ入りを表明した清宮選手が王貞治先輩の868本を狙う意気やよしと称賛するならば、本邦に腰を据えて戴きたいと願わざるを得ない。

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