コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

7月24日(月) 小籠包に包まれたい  -海外情報 - 台湾-

h986.jpg  朝から蟒蛇の如くに腹に収めていく子供達には朝食バイキング付きは幸便だったが、父は茹で卵にスクランブルエッグ、残念ながらこれも名物の牛肉麺はどうにも出汁としてエキスを収奪された後の、出涸らしの草鞋を口に運んでいる様で、初日限りにて断念した。

 「以徳報怨」蒋介石総統閣下が今は亡き蘇連邦とは対照的に敗走する帝国臣民を解放したのは、勿論国共内線に向けた対応の一環ではあったろう。ただ現実に大陸を中華人民共和国に席巻され、反抗が叶わなかった結果として、東西冷戦の最先端に位置することになったわが国が早期の独立と、国防を駐留米軍に委ね経済復興に特化し得たとすれば、たとえ片想いであったとしても中華民国にそこはかとなき共感を抱くのは道理である。そして中国四千年の歴史の一部が、遠く重慶を経て搬送展示されているのがここ国立故宮博物院、三日目に至り極めて正攻法に回帰し、流石にこちらは要入館料である。
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 早朝から訪れたので目玉商品の翡翠の白菜には並ばず御目に掛かれたものの、豚の角煮が嘉義の別館に出張中とは残念だった。何と無く歴史展示が物足りなく感じられたのはそもそも書や焼き物の類に興味が無いからだろう。しかも自慢の庭も月曜休館とは御縁が薄かったか。
 更にドバイに続きスカイツリーにも抜かれて世界第四位に後退した台北101へと連日のタワー詣でとなった。
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 五稜郭にしろ、横浜にしろ、タワーと名の付くものには喜び勇んで登ってきたが、いざ高速エレベーターで89階に進んで摩天楼から地表を眺めても今ひとつ感慨が湧いて来ない。寧ろ91階の屋外展望台は柵だらけで到底展望には不向きだったものの、あと10階分のタワー先端を仰ぎ見たのが余程得難い体験であった。
 要は眼下に拡がる街道であれ建物であれ、或いは遠く臨む海山近隣の諸都市であれ、例えばあれが嘗てわが国最高峰であった新高山なぞと故事来歴あるアイテムを実見した事実に意義を見出だすのであって、単に美しいスペクタクルには重きを肯じ得ない性癖ということか。
h992.jpg  ダッコちゃんにも似たサンリオ作のゆるキャラ、ダンパーベイビーは色合いによっては「ちびくろサンボ」的な懸念を生じさせそうではあったが、帰路88階の下りエレベーターへの通路には辺り一面に宝石商が拡がり、高く昇れば舞い上がり財布の紐が緩まる訳でも無かるまい、些かサンシャイン60の亜流の様な、洗練とは必ずしも相容れない様相であった。

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ピサの斜塔でもタージマハールでも御馴染みの図
微妙にズレました
   さて小籠包も有名店にと永楽街に繰り出してはみたものの、わが国にも支店を有するそれは長蛇の列で、散歩がてら練り歩く気力・体力は熱気に奪われ、近隣で妥協したところ椎茸の味が強く道中ほぼ唯一の失策だったか。
 しかし転んでは只では起きず都市変遷評論家の顔に変じて地下鉄をひと駅試乗、JTBから与えられた台北版SUICAを活用する。中正記念堂はわが国統治期の歩兵第一連隊駐屯跡地らしく余りに広大で、照り返しの厳しさに遠く蒋介石閣下のお姿を仰ぐのみで早々に退散した。
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こちらにも101はしっかり写り込んでいる
 ここでホテルに戻り今般唯一のリゾート・モードは屋上のプール、妻はお買い物である。ホテルからも101はランドマークたる役割を立派に果たしているが、タクシー移動ばかりなので一向に土地勘は備わらない。

 夕刻は士林市場へと繰り出した。地下へ降りればケアンズの夜市を遥かに凌駕するキッチュさ、旧き良き亜細亜らしいと言うべきか、お洒落・小綺麗と言った賞賛とは正反対にある食堂街だが、確かに小籠包は安くて美味い。
 一階は常設化された的屋業の集合体の如しで、海老釣り、風船割り、射的にコリント型のパチンコと出店が並ぶ。麻雀牌を用いたビンゴが実に中華仕様であったが、収穫物はメザシの縫い包みとはこちらもシュールだった。
 到底耐震基準を満たしている様には見えないが、老朽化に伴い一旦仮店舗に移転した後、旧来の趣きを維持しつつ再び市場として賑橋を取り戻したらしい。畢竟、築地もまた本当に再開発されるならば、仲買売買施設としての狭義の市場性に留まらず、こういた夜市的なエンターテインメントや猥雑さをも包含する、「おんな城主 直虎」における気賀の如く市場擬きを目指すことになるのだろうか。
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 実は御出掛け前に揉まれて仕舞ったのだが、妻が散策中に発見したマッサージ店で揃って再び揉まれ、実に六店目となる小龍包に有り付く。思うにわが国のそれは比較的皮が厚くて寧ろ肉まんの領域に近いのに対し、本家は餃子との親和性が高いのが個人的な勝因だったろうか。

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