コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

12月11日(日) 報恩以徳  -スポーツ - プロ野球-

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重慶の人民大礼堂
(国民政府の建立ではないが)
 台湾野球と言えばライオンズの印象が強いのは、必ずしも西武グループの国際戦略に基づくものではなく、かのオリエント・エクスプレス郭泰源氏の存在故だろう。実際には往時「二郭一荘」と形容された様に西武ばかりに集中していた訳ではないが、中日・ロッテは寧ろ親会社の商売柄韓国との連関が強くなり、許銘傑氏や更には現役の郭俊麟を擁する西武も対台湾への架け橋を自認しているのか、昨年からは「台湾デー」も開催している。
 ただ台湾野球の歴史を紐解けば、嘉義農林の甲子園大会準優勝を描いた映画「Kano1931」にも呉昌征氏を敢えて一瞬登場させている様に、台湾島出身者の草分けたる氏が戦前に二度の首位打者を獲得した際に所属した読売巨人軍との縁が本来は最も深く、従って先月台中においてオール台湾対巨人OB戦が挙行されたのも伝統に基づく措置であったと言えよう。
 わざわざ昨日の放映を録画して繁々と眺めた第一感は、巨人のOB戦と言えばV9戦士がずらりと並ぶ姿が記憶にあるだけにOB会長の柴田監督を除けば80年代以降の顔触ればかりだったのには時の流れを思い知らされたが、篠塚・原・中畑各氏の藤田政権期のラインナップも懐旧の念ひと塩には違いない。
 一方、台湾サイドも先発は中日の救援投手・郭源治氏、三本塁打の鮮烈なデビューでオールスターの規約を変えて仕舞った呂明賜氏と豪奢だったが、亡くなった大豊氏は元より三宅宗源氏、荘勝雄氏らは日本に帰化したのでオール台湾には相応しくないとの解釈だったろうか。
 還暦内外の創成期メンバーよりひと世代下として締め括りに起用された阪神・郭李氏が打ち込まれ、急遽外野手が登板していたのはご愛嬌だったが、二刀流ブームの昨今だからこそこの場面には南海で投手と外野手双方を担った高英傑氏こそ相応しかったのではないか。先発捕手の李来発氏ともに来日し外国人枠に苛まれた先駆者の苦難の日々が改めて想起されて然るべきところ、少なくともTV放映には欠場した往年の名選手の今への言及が欲しいところだった。
 勿論、スタンドが最も湧いたのが郭泰源氏と王貞治氏の対決であったのは論を待たない。78歳の王氏がフルスイングして尻餅を付く絵柄自体が人智を超越しているが、まさに王氏自身が台湾の特殊な歴史を体現しているからでもある。
 母方の日本国籍にて出生した王氏は実父が中華人民共和国籍でありながら、戦後は西側諸国が正統政府として国交を持った中華民国籍を選択したことから、ルーツに鑑みれば縁の無い筈の台湾の英雄となっている。
 時恰もトランプ米新政権が「ひとつの中国」に波紋を投げつつある中、八百長問題により存在そのものを問われている台湾野球に手を差し伸べるのは、わが国スポーツ外交の観点からもひとつの試みではなかろうか。

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