コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

12月8日(木) 砂の果実  -政治・経済 - 税金-

h770.jpg  そもそも消費増税までの過渡的な措置が主であり、早くから注目された扶養控除の所得税法改正には特定のバーゲニング・パワーを持つ集団が存在しないが為に、総じて今年の税調の攻防は静かな印象が強かった。
 この中で「第三」をターゲットとした酒税を除けば、今年も自動車は焦点のひとつであった。ただ顧みれば毎年の様に、些か斜に構えた表現を用いればお祭り騒ぎが繰り広げられるのは、勿論物品税時代からの個別課税の色合いを強く残す税制度だけに消費増税に伴う攻防が繰り広げられるのは理解出来ようとも、10%までに三年近くを余す本年において、その前哨戦とも言うべき官庁文学の世界を除けば、些か不可解であろう。
 その謎を解く鍵はリーマン・ショックにある。景気の著しい悪化に発足直後の解散総選挙を断念した麻生政権は、最終消費財の活性化をターゲットとした経済対策を編み出し、その中に自動車・電器への補助金・減税策が組み込まれたのである。
 そして異例の、国家による個人給付であった前者こそカンフル剤としての短い生涯を全うしたが、所謂エコカー減税は現在に至るまで命脈を保っている。元より自動車の保有に伴う税負担については既に21世紀を迎えた段階で環境負荷に伴う軽減措置が謀られていたが、取得時の減税策は美しく言えば個人消費の喚起、裏返せば企業に取って販売促進に直結するのだからその延命を願うのは必然だろう。
 現実には導入時こそ短期的な税収減を犠牲にしても景気回復を優先すべしとの文脈が、大不況のなか財政当局にもまた呉越同舟共有されていたものの、消費税上げが延期されたのだから現下もまたリーマン級の消費不振であると居直ってみても詮無く、少なくとも取得時は 「環境負荷軽減の為の代替促進」が大義名分である限り、新車の九割が対象という事実は製造側の開発努力如何に拘わらず、些か広範に過ぎるとの主張には対抗し難かろう。
 実際には景気への配慮のみならず激変緩和の観点からも中庸の決着に落ち着いたが、詰まるところ租税特別措置という禁断の果実に手を染め、その攻防に血道を上げる構造が固定化されたが為に、却って自動車諸税全体、更には産業の範疇を超えた税負担の配分たる大命題に辿り着かない構図になっている。
 産業としての担税力と経済対策、奢侈品としての資産たる自動車と生活の足となる公共物に近似する要素、更には環境に加え安全の視点が加味されるとするならば、消費税10%という大きな節目までに何等かの整理は果たして謀られるのだろうか。

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