コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

10月11日(火) 路面電車に乗って  -海外情報 - オーストラリア-

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(左上から)線路からクリケット・スタジアムを
臨む、旧国会議事堂、路面電車が一杯、
王立展示館
 開けて貴重な唯一の朝は当然散策に費やさなければならない。まだ明け切らぬ6時に出立し単身市内巡りである。
 1854年竣工のフリンダース・ストリート駅を基点に跨線橋から階下の大量の線路を見下ろせば、トンネルへと吸い込まれていく電車には見覚えがある。昨夜川越しに眺めたものと同一ならば、郊外では地上に現れる東西線スタイルの地下鉄なのだろうか。
 遠くに望むクリケット・スタジアムに大英帝国の縁を想い、かのケアンズでは気魂しかった横断歩道の誘導音も消え入るが如く控え目な奏でと気付く頃には、不遜にも一端の豪州通気取りである。
 路面電車の軌道に沿って歩けば、居住性に優れる替わりに芳しからぬ観光資源の中でも、職責柄外してはならない首都時代の国会議事堂は存外に小振りで些かの拍子抜けは否めない。撮影禁止の地下鉄への潜入は断念してそのままカールトン庭園から王立展示館の触りだけ臨むが、豪州最古の欧風建築・公園として世界遺産に登録されていると言われても、今ひとつ面白味には欠けよう。
 そこで元より鉄道マニアでは無いが、矢張り土地勘のあるフィールドに回帰して帰路は路面電車を活用してみた。市内外周はロハとは驚くべき公共性だが、丹念に路線番号を確認した割りには大きく右に舵を切って市街地に闖入したところで注意深く辺りを見渡す。新婚旅行のプラハで偽検札官から法外な罰金を課された記憶が遮るが、今更支払うことも能ずもし煙管だったら御詫びしておきたい。
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 教会も多く旧い街並みの残る美しい街には如何にも映える路面電車も、かく頻繁かつ縦横無尽に辺り一面を埋め尽くしていると有り難みも薄れるとは贅沢な物言いだが、休前日夜の幹線は30秒間隔とは常軌を逸した数珠繋ぎで、その技術こそ高度交通システムの名に相応しかろう。坂の街だからこそ地域の足としての価値があるのは、何処と無くサンフランシスコを想起させるではないか。
 全地球規模での住み易い街ナンバーワンに選ばれるのも道理のまさにコンパクト・シティ、スマートシティを実証するにもどんぴしゃりだが今年も肝心の実験を体感するには時間が無いし、街中での実証は土台無理である。そもそも自動車産業の消滅する国家において、トラムの生き残り得る交通流の街には自動運転の必要性も薄かろう。
 概ねひと時半、古都を満喫して企業人に戻る。

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愉しそうだがこういうものには寄らない
 タクシーではぐれ刑事のハプニングこそあれ再び海辺のコンベンション、本日は展示開場へと歩を進め、お馴染みの日本ブースの開幕テープカット・セレモニーに臨む。賑やかしの一味として周囲に陣取り、処々に官民見覚えのある顔触れが二列縦退で白手袋に鋏の仰々しい構えを拝む。
 午前中一杯は出展した本邦官公民全てのブースを巡視で練り歩くが、残念ながら体験ものが少なく押し並べてパネルなので、恰も朝から晩まで面接官に従事していると同一人物が現れたかと錯覚する様な、内容の重複も多々見受けられよう、流石にバッチのある方々は忍耐強く傾聴力に長けておられると感服した。尤も与野党相乗り三議員のうち二氏が理系であり従来とは若干の様相を異にしたのか、各ブースの説明員も張り切ったか、なお時間が押して慌ただしく会場を後にする。
h707.jpg  そしてオーラスに至り短かった今般行程唯一の余暇、 昨年に続く、メルボルン市内を跨ぎ南極海へと注ぐヤラ川の名を冠した豪州有数のワイナリー、ヤラ・バレーである。生憎の曇天もここに至って晴れ間が覗き、小一時間の郊外への旅路で辺りは一面の草原、漸く亜大陸らしき光景にあり付いたかと一同感嘆したものの、冷静に眺めれば富良野の如く美映の如くであり、これが本物の豪州の絵柄なのかは定かでない。
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 羊が一匹、羊が二匹とフェアウェイかと見紛う牧草地帯を目にすればラムを賞味したくなるのも人の道、急ぎワインを流し込みバレー最古のイェリング本体に向かえば、買い物の隙すらない強行軍の我々を見越した様に、土産にはお誂え向きの小ボトルが並んでいるではないか。しかも菓子折りに加えここでも英連邦らしくワイナリーには幾分不似合いな紅茶すら數種類に亘っており、早々に調達完了とは頼もしい。
 空港までの道程を二台分乗とした賜物、ショコラティエ・ショップにも寄り道し、蒸気機関車も走るという森林を潜り抜けて大団円に至ったのだった。落とし穴が待ち受けていたのは空港に到着してからになる。

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