コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

7月29日(金) ソラとワニとの間には  -海外情報 - オーストラリア-

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 夜も明け切らぬケアンズ空港は椰子の木で埋め尽くされるリゾート仕様と思いきや存外に簡素だが、幸い市街地まで20分程とは至便である。
 早朝にチェックインし朝食を求めて途上バスから発見したマックへと赴くと、朝からポテトばかり頬張らないのは万国共通の風習なのだろう、河岸を替えフィッシュ&チップスにあり付いて漸くひと息付いた。今般は行程の大半をツアーで埋めるためJTB現地事務所にて段取りを確認し、睡魔に襲われつつも数少ない空時間にホテルに至近な動物園を目指すとは早くも効率的かつ精力的な出だしである。
h594.jpg  しかもカジノの上階に陣取ったZoom & Wildlife Domeはまさに名は体を表すと言うべきか、確かに動物は点在しているものの屋内に張り巡らされたアスレチックにターザン宜しく挑むとあらばわが身第一、鳥々の囀ずりに囲まれる風流を余所に最早他の生き物なぞ二の次だろう。
 恰もどっきりカメラの野呂圭介氏宜しくヘルメットに安全スーツまで着込み、異国に馳せ参じて数時間で疲れも見せずに綱渡りに興ずるのは若さ故の特権たろうか。果てはドーム屋上に身体を曝して外周を練り歩くとは、勿論厳格に命綱で括り付けられているものの、空中回廊の趣きにわが国では決して容認されないワイルド振りを満喫した。アスレチックでは慎重居士だった公資が存外にひとりさっさと闊歩していったのには面喰らったが。
 のっけから予想外の展開だったが、元よりケアンズ最大の眼目は動物との触れ合いであり、早速午後からのツアーもHartley's Crocodile Adventuresへと向かう。バナナワニ園からバナナを省いた様なものと高を括っていたらあにはからんや、金網に包まれたボートを仕立てて巨大なクロコダイルの巣食う池へと闖入するや否や、元来冬場は少食で寧ろ丘に上がり日光浴でエネルギーを消費しなければならない彼等に、何時もより多目に喰わせておりますとばかりに激しい餌付けが展開されるではないか。
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 ディナーショーの顧客の如くひとりひとりユーカリの枝を抱えて恭しくコアラに近付き、一方で放し飼いのなか三々五々餌付けに供されるカンガルー、ワラビーと、等しく重大な観光資源でありながら待遇に著しい格差の認められる三大スターとの触れ合いを経た後には、水を抜いた貯水槽風の一角に大量に屯するクロコダイルに直面した。
 要はワニの養殖場であり先刻の池で人生を全するのは選ばれし者のみ、一部は元ヤクルト〜阪神のパリッシュ選手に消化されようが、大半はワニ革たる使命が待っている。記憶を辿ると商社マンだった父の父の家には今では到底お目に掛かれない立派な象牙をはじめ現行法下の禁制品の宝庫だったが、ワニは養殖由来なら輸出入自由である。元より天然のワニを捕獲してハンドバッグに仕立てる様な手間暇を掛ける酔狂な輩は蕃人の地ですら存在しまいし、ワニ革の財布やベルトも些か金満なイメージに毒されていよう。子ワニともフレームに収まり、定番のコアラとの公式撮影が締め括りとなった。
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左は子ワニ、右は大ワニ
 コアラ労働基準法に基づき撮影に従事するのは三日に一度、30分のみとはブラック企業が腰を抜かしそうな厚遇だが、確かに大人しく抱かれ、かつ適宜カメラ目線を呉れる域に達するタレント性を獲得するのも楽ではなかろう。祐旭が何故か「パンダは可愛い」と述懐していたのはわが国における両者の立ち位置を如実に示していたが、コアラは和歌山ではなく名古屋市に生息している。
 帰還すると昨夜からの丸で長い一日を終えた様な些かの疲労感に包まれながらも臆せず街を練り歩く。自動車優先で凡ゆる横断歩道は押しボタンにより祁魂しい警報とともに青に変わるが、人車ともに少量なので危険には程遠く、リゾート地にありがちな街を出るまでの渋滞とも無縁である。
 食の好みに振幅が大きいわが家の夕食は、愈々危険水域に及びつつある公資の過食懸念を措いてなおバイキングが、当たり外れ無くオールラウンドに通用する。にも拘わらず祐旭の評価は「カレーが意外に美味」で奇しくも父子の味覚の一致を顕わにする頃には、アスレチックに駆け回ったのは遠い過日の如しだった。

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