
当初予定ではゆるりと土産物色だったが、メインゲストと示し併せてマニアックに軍事博物館詣を提唱してみる。アンバリッドに佇むそれは余りにも広大で、建家の中を迷いつつ向正面のナポレオン一世の墓碑から攻めるが、墓石が地下に安置してあるのは来訪者が須く頭を垂れる構造というのは本当だろうか。万世一系のわが国には王統が入り乱れあまつさえベルばらにもワンシーン、眥鋭き若き将校としてしか登場しないナポレオンが帝冠を抱いた事実からして想像に絶しようが、大阪城に赴いて秀吉の栄華に想いを馳せるのと同趣旨だろう。
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ただ結論から言えば肝心の展示は軍服ばかり、兵器はヴィシー政府の友国たる独逸のV2やら丸で第三帝国の見本市の様で、改めてかの国が敗戦国であることを思い知らされた。幸い韓国のそれの如くわが国への明快な敵愾心は窺えず、却って真珠湾同様、大日本帝国の最大版図が掲げられていたのは幾分誇らし気に映ったが、逆に言えばレジスタンスに忙しく一戦交えもしなかったわが国のコーナーまでも設けなければ広大なスペースが埋まらないのだろう。
残念ながら時間切れで公共交通機関には遂ぞ搭乗叶わず、幼少時に階段を降りた瞬間に金切声が響き、視線の先に叫ぶ女性の傍らに刺されてぐったり座る男性と凶器を抱えたまま走り去る賊の、阿鼻叫喚の光景を垣間見た地下街の悪しき記憶は払拭されないままとなった。

その足で四人となった一行はギャラリーラファイエへと向かう。社費で贅沢三昧した罪滅ぼしでもなかるまいが、悩ましいのは会社への土産であり、不在の間の後衛としての御恩に応じて傾斜配分するためにも個数を用意しなければならない。

行きに映画を見過ぎたので帰路は少し退屈だったが、流石に食べ厭きた肉はスルーし全日空のラーメンとうどんを堪能して長旅を終える。帰路は王様にあらず窓側だったが、到着すればはや金曜日。ゆっくりと休もう、何方様もお疲れ様でした。