コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

10月5日(月) サンテミリオンには手摺がある  -旅行 - ヨーロッパ旅行記-

h210.jpg  二日連続同じコース、同じ顔触れでラウンドとあらば最早サラリーマンの出張ではなくゴルファーの遠征であり、寧ろ予選落ちしたので序でに国際会議にも出ましたというノリになるところだったが、幸か不幸かこの日は別動隊に潜り込み水月会ならぬ日月会参画は回避された。
 リゾートには違いないがゴルフ場に宿泊している様なものでは海外出張恒例の朝の散策も成立せず、水ひとつ買えないのは不如意極まりなくとも身体には優しい9時発となる。
h211.jpg  ローマ帝国以来の葡萄の産地であるサンテミリオン地域は中世の街並みを色濃く残す、ボルドーと同じく世界遺産に登録された聖地である。到着して早速街の名の由来となった聖エミリオの幽閉された洞窟脇に佇む、石灰岩の一枚岩と木材のみで編まれた教会を拝む。その裏から眼下に街並みを眺めるのが定番(左写真)だが、グランドキャニオンに柵が無いのと同様に、サンテミリオンには階段が無く石灰岩つるつるの石畳の坂道はわが国ならば道路局に苦情が殺到するであろう。
 本来ならば街並みを堪能すべきところ小市民の浅はかさ、高尚な醸造元過ぎて到底小売りは叶わず昨日逃したお土産ワインの物色に早速黒猫の看板が頼もしい店舗へと飛び込み、既に毎日飲んでる上に気前よく大人買いである。30ユーロ前後二種類の赤を三本ずつ、同行者の仰せのままに財布を紐解くと、大蔵省と勘違いされたかおまけにと手に取ったゴムの注ぎ口は計16ユーロながらロハで宜しきとは頼もしい丼勘定ではないか。
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 昨日からの肌寒さもゴルフ組は中断を余儀無くされたと聞く唐突な俄か雨が上がれば寧ろ暖かさに転じ、予報では終始悪天だったにも拘わらず遂ぞ旅程を通じて雨の被害が最小限だったのも幸運極まりなかったろう。
 ボルドー以上に葡萄の成る位置が低く、幾ら土壌の都合とはいえ極東のさる自動車会社なら工程改善の号令が響き亘りそうだが、実際腰の負担に労賃はお安くないらしい。鱈腹食べて鱈腹飲んで、13時過ぎには完了と念押しして巻きに巻いてもラテン系気質なのだろう、幾ら雄大な食文化でも分刻みのわが国三次産業的感覚には則さない。ただ迂闊にパスタを頼んだりすると味が薄くてげんなりするし、昼から二時間掛けてフルコースを味合う様な優雅さが無ければこの国は堪能出来ないのだろうが、わが方は足早にバスに乗り込まなければならない。街中は信号機の連動も芳しくないのか渋滞を勘案する早めの行動が大和魂である。
h214.jpg  中世の街並みとワイン精製に特化し、ワインと観光で潤う街が旧英国領という出自に由来するとは皮肉ではあるものの、地続きの欧州らしいとも言える聖地であった。

 スーツとネクタイに召し換えて今日もここから公式行事の中の公式日程、ITS世界会議 in ボルドーの開会式がやって来た。とはいえ冒頭、謎の登り棒マッスルマンのパフォーマンス以外はただでさえ話の長い仏人の、高度交通システムの専門的な解説を通訳無しの仏語で拝聴するとなれば退屈を通り越して苦行に近い。それでも昨日の副市長様自らVIP席にと二階へと誘われたとあれば無碍に退席もままならず、抜け出して開場周辺の散策をとの目論見はおじゃんである。
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左はフォアグラ、右はメインの肉、今日は大人し目
 夜も珍しく重鎮相互の会食に本席末席に闖入したため市内の「月の港」と賞賛される美しい夜景も、肝心のブルス広場を内側店舗から臨むに留まりゴシックの建造物は帰路のタクシーで一瞬拝むだけだった。
 又もやフルコース、又もや長の宴、端から食文化にもワインにも執着が無い身の上には些か酷な風景の素通り続きで今日も漆黒の闇にひとり聳えるリゾートへと帰還する。早くもボルドーの夜はオーラス、わが国から持参したおかきと茶の土産の余剰を大量に抱えたまま、パッキングに勤しみ床に就く。眠りに落ちるまでに日本の朝は来ないからメールに悩まされないのは幸いだったろう。

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