コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

10月4日(日) ワインボトルを抱きしめて  -旅行 - ヨーロッパ旅行記-

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 前夜、フロントにモーニングコールを告げると「5時?」と反復される。10月後半までサマータイムのフランスの夜明けは遅い。漆黒のなか7時に朝食を摂り、まだ夜も明け切らぬ8時前にスタートホールへと歩を進めた。
 そもそも外遊は昨年を以て卒業予定だったところ随行者の必用条件として時差調整の大義名分を以て真っ先に棒振りが掲げられてお鉢が回ってきたのだから重大な職責には違いないが、芝刈り歴十五年余にして初の海外遠征とは有り難い役得である。
 とはいえ欧州らしくセントアンドリュースの様なリンクス風情と言えば美しいが、わが国の感覚では河川敷に近い代物に他ならない。元よりわが国におけるゴルフ競技が必用以上に金満化しているのかも知れないが、辺り一面の手引きカートの中に当方の二人乗り電導二台が寧ろ異様であり、36ホールが入り乱れているにも拘わらずの放置プレイで次ホールを探索するのもひと苦労である。
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 確かに平坦極まりないもののその分池とバンカーがふんだんに配備され、距離標示は135一本のみでは目分量も甚だしい。しかもメートル法とは英国ヤードに対峙するフランスの矜持たろうが、僅かにワインボトルがボルドーの特質を醸し出しているとはいえ混乱を来たそう。
 グリーンも傾斜以外の要素が介入していそうだが芝目は富士山に向かってと解説して呉れるキャディーも居らず、整備状況はそれなりのフェアウェイの為せる業か、果た又貸しクラブが使い慣れたそれに比べて重いからなのか、ヘッドが返らずとくにアイアンがシャンク続きで、長めの距離よりもアプローチが悪いとスコアにならないという前回の成果を逆張りに立証した形で、体力的には難儀ながら貴重な経験たる午前中を乗り越えたのであった。些か寒さが身に染みたとはいえ、スループレイのおかげで18番でポツリポツリと来たものの午後は断続的ながら雨足が止まらなかったのだから、日頃の行いの賜物と受け止めておきたい。

h207.jpg  わが国ならここで当然ひとっ風呂浴びるところだが部屋には湯槽すらなく、小さな温水プールとミストサウナのSPAに寒さを煽りながらも身体を浄め、暫しの待機に漸く排便してひと息付くと愈々公式行事の開幕、ボルドーらしく開栓と言うべきだろう。
 実に八年前からITS世界会議の誘致活動に勤しんだという見目麗しき女性副市長氏が、かの東京大会のTシャツを纏い歓迎モード満載の御子息とともに御迎え戴くのは夫君の経営するワイナリーである。
h208.jpg  地元の名士なのだろう、ルイ王朝時代からの海軍居留地跡に陣取り、崖下を繰り抜く石切場を転用した洞窟をワインセラーに見立てた酒蔵の奥深く、居並ぶ樽から吸い出した瓶詰め前の若きワインを試飲する。単身訪れたならば些か黒部の太陽の如く背筋に脂汗も流れよう壮大な会場もみんなで渡れば怖くない、優雅な一刻そのままに洞窟の中の会員限定レストランにてITS議員連盟とITSーJAPAN常任理事会懇談会に雪崩れ込む。
h209.jpg  幸い事務方は廊下を挟んだ別席で五つ並んだワイングラスを飲み比べ、お子ちゃまの舌でどれが何やら皆目不明でも、カメラマン役と文字通り鞄持ちを務めたお土産のタイミングだけ忘れなければへべれけになっても構うまい。ポール星人に太陽光を遮られたウルトラセブン宜しく洞窟を抜け出せば、かのエッフェル設計の陸橋とともに美しい夕陽が映えるのを臨んだのは事務方だけに与えられた眼の保養であった。
h251.jpg  ここでホテルへと帰還する一行から離脱して市内に戻る本隊のバスに闖入すると丸一日振りに役所の御仁と再会して二次会とは、慣れない大量のワインに多分に酩酊気味だったが、揺り起こされてなお惰眠を貪り続けるバス移動を回復に充て、我ながら体力が持続するものである。
 ただトンネルを越えカナダに亘ってカジノに繰り出した昨年の様なハプニングこそ勿れ、棒振りを優先してリゾートホテルに居を構えたのと引き換えに、漸く夜半にして市内に御目見え出来たのは幸便だったろう。帰りのタクシーを事前に確保して日が替わる前に郊外へと辿り着く。ここはフランス、チケットが使えないだけで無く日曜はサービス業も軒並み開店休業の中、ポテトや揚げ物という居酒屋風情のジャンクフードにあり付けただけでも良しとしよう。

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