コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

8月3日(月) ちょっと待った  -政治・経済 - 労働問題-

h128.jpg  10月1日には拘束旅行すら存在した究極の売り手市場だったバブル期の記憶は今や昔だとしても、数少ない面接官たる経験則に鑑みれば詰まるところわが国の就職活動とは「イエ」の色濃かった戦前まで遡らざるとも、高度成長期のお見合いの如く偶発性の高いものに過ぎない。
 ただ長期雇用を前提とする社会慣習の元ではたとえその「婚姻」に錯誤が認められても後戻りは難しいからこそ、企業・就労者双方の為にOB訪問やリクルーターという形で「恋愛」の期間を設けて互いに相手を見極める猶予を与える生活の智恵が生まれたのだろう。
 しかしながら今般、学生の本分たる勉学の充実、留学の機会増大を目途に経団連主導で就職活動、就く面接の解禁日を四ヶ月後ろ出しして八月一日としたことは、予想通り様々な軋轢を齊している。
 活動の最盛期が後期試験から春休みという学年の狭間から、春から夏へ学生生活のハイシーズンに移行して、実験を抱える理系、部活の有終の美にあたる体育会学生からは怨嗟の声すら聞こえるし、協定に与しない中小企業にとっては体よく滑り止めに使われては青田買いの意味すら為さないだろう。
 況んや学生側も本当に協定破りが存在し得ないのか疑心暗鬼になろうし、引いてはかく制約の無い外資系企業へと優秀な学生ほど流出する危険性を高めよう。
 必ずしも雇用の流動性増大が、個の職務分掌を明確にせず集団の協調により柔軟性をその特色としてきたわが国職業風土に相応しいとも思えないが、少なくともインターンシップの活用等を含め企業と就労希望者の接点を増やす、自由恋愛市場の拡充はなお必要であろう。言わばねるとんから更にテラスハウスの世界がこの文脈では求められている。
 拙い記憶を辿れば旺盛を誇った金融機関が実質的に青田買い開始の号令を鳴らす「Xデー」が何時になるのか、口コミで噂の飛び交う就職協定の脱法行為が、不謹慎曖昧ながら人生ゲームの第一の山の如くに実態として是認されていた時代が懐かしい。
 罪作りな社会実験をしたものである。

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