コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

1月22日(木) 華盛キューバン・ボーイズ  -スポーツ - プロ野球-

g938.jpg  キューバ危機をリアルタイムで体験した世代ではないが、第三次世界大戦が憂えられる程に嘗て共産主義が輝きを以て受け止められた時代が存在したことは、判官贔屓こそあれ今もなおチェ・ゲバラのTシャツが信条の東西を問わず広く流布している事実をして裏付けられよう。
 そのキューバと米国が国交交渉を開始したとのニュースには隔世の感がある。勿論、米寿を迎えたカストロ議長後を模索しなければならないキューバ側の事情にも依拠しようが、わが国において最大の影響を被るのは本邦職業野球ではなかろうか。
 アマチュア球界にその名を轟かせたキューバの衰退の一因が有力選手の相次ぐ米大リーグへの亡命にあるのは論を待たないが、キューバもまた手を拱くのみならず嘗て中華人民共和国が外交官兼情報要員として「ピンポン外交」を展開した政治的思惑とは大いに異なり、国家公務員たる野球選手の輸出に依る外貨獲得策に転換しつつある。
 その前触れとして21世紀初頭にはリナレス選手が中日に送り込まれたが、既に一度現役を引退しており往年の「キューバの至宝」たるに相応しい活躍は臨めなかった。
 それから十年を経た昨年、キューバ政府は正式に国外における職業スポーツ活動を容認し、DeNAグリエル、ロッテ・デスパイネと現役バリバリの大物が出稼ぎ輸出されて来たのは記憶に新しい。
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今は亡き西宮球場
 彼等は公務員として西側の野球閑散期は地元ウィンター・リーグに帰参し野球先進国からの技術導入に務める責務もた負おうが、米大リーグ経験者以上にわが国野球協約における保留条項には捕らわれず、次年の所属はイチから御破算でキューバ政府が再検討するとの指摘もあった。
 かくあらば例えば読売なら亡命組のアンダーソン選手と派遣組のセペタ選手の扱いが異なり混乱もと懸念されたが、幸い揃って前年通りにて落着したところで今般の一大転換である。
 当然、等しく出稼ぎに赴くならば極東の果てよりは近隣超大国の方が望ましかろうし、メジャー級はひと握りだとしても米国のお墨付きが得られれば市場は中南米全域に拡大しようからわが国のキューバ詣でも一過性のブームに留まるのかも知れない。
 昭和30年来日時には寒さに震える日々を送り、キューバ危機による西側との断行でついぞ帰国の叶わないまま長らく関西弁の阪急名物通訳を務めたチコ・バルボン氏は今、何を想うのだろうか。

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