コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

9月8日(月) デトロイト・ボール・シティ  -海外情報 - アメリカ縦断/横断の旅-

g807.jpg  高度交通システム並びにITS世界会議とは長年の密な関係にあるが、横浜・名古屋・東京の国内三大会には何れも足を運んだものの海外随行は永田町周辺居住者生活14年にして初めてである。馬齢を重ねれば遣り手爺いの耳年増の如し、出席議員の最大の公式行事が日本ブースの開幕テープカットであることだけは明確に職責として脳裏に焼き付いている。
 しかしながら随行者に選り好みは許されず、見せ場たるテープカットと話題の自動運転擬きの試乗へとコボセンターに向かう本隊を見送り、フォード博物館に連なるグリーンビレッジへとやって来たのだからITSは何処へやらの街並巡礼、しかも20世紀初頭のデトロイトを再現した、言わば明治村ならぬ米国版大正村とあれば最早自動車産業すら彼方へと消えている。
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(左)Mary had a little lamb (右)考えるエジソン
 ただ結論から言えば、英語力の問題もあり各戸毎に解説の長口舌に預かるのは苦痛ではあったものの、レコードも電話も技術的には先駆者でありながら商業的には敗退を続けたエジソンの筒型のフォノグラムに史実通りに「メリーさんの羊」を録音するデモンストレーションをこの眼にすると、後年に至りテーラーシステムの一律性を問われる事態を喚起したのかも知れないが、成功者フォードが改めてデトロイトの父たるべく浮かび上がるべく村の構成には、美しく言えば米国の基幹産業たる矜持と父性が伺えて興味深いものだった。
 しかもT型フォードや蒸気機関車の試乗に至っては息子達とのお出掛けシリーズの延長線上にあり、単純に物見遊山として愉しめたのだから別動隊への任命に感謝しなければなるまい。

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 昼食で本隊と合流すれば、はや丸2日に及んだITS世界会議対応も大団円、要人を空港に送りひと先ずは御役御免となったが、実は私の旅は漸く折り返しに他ならない。
 とはいえコボセンター(上写真)にとって返したここからの数時間が唯一の自由行動、会場を覗いてITS随行員の装いを施すべきだろうが、生憎ひと時の解放感は到底職務遂行には自らを駆り立てない。
 お土産も買いたしと散策に及べば自然と三度目のGM本社に足が向かうのは最早帰巣本能の様なものか。しかしながらそこで目に映ったのはピープルズ・ムーバー、昨日退屈な開会式を抜け出して階下から眺めた電車であった。ITSとは殆んど無関係だが、こちらも無人の新交通システム、水際を走る絵柄はお台場のゆりかもめと瓜二つだろう。
 かくなる上は都市フリークとして試乗にと挑めば地元住民と覚しきご婦人に話し掛けられ気分はぶらり途中下車の旅、拙い語学力を駆使して意思の疎通を図る。「中国ですか」「(矢張りこの街もと暗然たるを抑え)日本です。国際会議でして」とビジネスマンを誇示しなくとも背広では一目瞭然だろう。「私達はライオンズの試合なの」。
g811.jpg  米大リーグに西武グループがと間抜けな勘違いに捕らわれる勿れ、NFLの球団に他ならないが、果たしてレールが先かビルが先か、建物の軒先を縫う様に走るゆりかもめにて市内を巡れば唐突に視界が開けた先には川沿いに文字通りのダウンタウンが拡がっている。
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姿
 嘗ては治安の懸念されたデトロイトも財政破綻を経て寧ろ市内は再開発が進み、所謂ダウンタウン的な雑踏は郊外に追いやられ今や米国内でも安全な部類に入るらしい。しかもご婦人に従って駅を下りれば屋内のアメフト・フィールドの隣にはコメリカ・パークの偉容が聳えているではないか。
 専門分野移籍の野球評論家を潜称する身の上だが全国の野球場へのフィールド・ワークもまた評論家業の一環に他ならない。しかも全くの予備知識なしに出会し、まさにこの16時から試合開始とは天照大御神様の配剤以外の何物たろうか。
 少々のプレミアを厭うことなくダフ屋から言い値で調達すれば、打席に立つのはお誂え向きにロイヤルズの青木外野手に他ならない。
 コメリカ・パーク自体はダウンタウン再開発の一環として2000年に竣工しているが、内部に遊園地を付設し右翼を川に遮られた変則構造が古式ゆかしい米国のボールパークの風情を醸し出している。何よりも矢張り野球は大空の下で観戦したいと痛感させる解放感こそが本場の味なのだろう。
 急ぎとって返してアナーバーの会食に合流、随員の顔に復したが、久々に心晴れやかな一日だった。

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