コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

9月7日(日) トーマスとヘンリー  -海外情報 - アメリカ縦断/横断の旅-

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 我が方ご一同様の宿泊はその名もヘンリー、一帯は須くフォード社の牙城でありデトロイトの下町からは完全に隔絶され朝の散策すらままならない。ただおかげで本旨たる世界会議に先立っての肩慣らしにフォード博物館の視察に赴くには著しい好立地であった。
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 ヘンリー一世が量産に踏み切ったT型フォードの名は産業史に燦然と輝いているが、流石に本拠だけあり博物館も巨大である。おかげで冒頭、居並ぶ歴代大統領の御領車に子供の様に目を輝かせてシャッターを切り捲っていた一行も、母屋ですき焼き並みに甚大なら展示もとばかりに満州亜細亜号すら遥かに凌ぐであろう蒸気機関車を見上げ、自動車の長き歴史を辿り、飛行機まで辿り着く時分には米ビッグ3華やかなりし縁に浸る域を超えいい加減グロッキーだったが、これでも尚半分を余しているのでは御手上げだろう。
 幾種類かの設計図とともに用意された紙飛行機を製作し試験飛行スペースにて再び童心に還った後は、オーラスの家具、農機具は事実上スルーパスし、同行の士とともにヘンリー氏の繊維鋳造2弗成りに勢を出すのであった。
g802.jpg  しかしエジソンとフォード一世の写真の掲げられた由緒正しい昼食を経て午後は又もやフォード所縁の地とは、幾らデトロイト探訪に名を借りても流石に優雅に過ぎようが、国際会議には付き物の奥様プログラム同伴という重責であるから大手を振っての観光である。
 ヘンリーの子息エドセルと妻エレノアの家は、広大な庭にわが子への誕生日プレゼントたる須く寸法三分の二に拵えた飯事チックな家が登場したりと20世紀初頭の富豪らしく豪奢には違いないが、失礼ながら現代の感覚からは工業の街には不似合いとも言うべき英国的な気品が漂い、在りし日のノブレス・オブリージュが伺われる想いだった。
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 同時に広大かつ人工の入江まで備えた敷地の散策はこれも米国らしい光景だったが、何よりも驚いたのは朝から行動をともにしたガイド氏がかの矢野顕子氏のご子息と判明したことだろう。偶々その個性的な名前を伺い確信を持ったが、恐らくは騒がれるのは本意では無かろうと「幼少の砌にスネークマン・ショーのラジオでお声を」とか「東京は夜の7時のジャケットで拝察しました」とか、親し気に話し掛けられなかったのは残念だった。

 愈々ここからが本番、市の中核コボセンターに急行してITS世界会議の会場視察も明日オープンが信じられない程に未だ設営途上の各ブースの楽屋裏拝察に留まり、昼以来の本隊と合流して開会式で漸くお仕事モードが回復する。
 昨年の日本では伝統舞踊の披露など演出が施されていたが、丸一時間半ほぼスピーチばかりでは辛い行程だろう。再建途上に品質問題と話題のGMのGMならぬ女性CEOが妙にITSに被れていた印象があったが、経済記者のぶら下がりに捕まっていたのは、洋の東西を問わずの光景だったろうか。
g805.jpg  ところが夕食こそ昨日ほどスローモーでは無かったが、連日の二次会に向けて大河を渡る事態に遭遇するとは誰が予想し得ただろう。米国の地理に疎く殆んど不見転での到来だったが、国際会議らしく一部関係者は対岸のウインザーから通勤を余儀無くされたとの解説には得心したものの、そこがカナダであるとは御釈迦様でも気付くまい。
 幸い通関で不審者面も疑われずトンネルを超えると僅か20分で到着、深夜だから当然かも知れないが打って変わって静かな街である。結局お目当ての御仁は帰還が遅れ、ホテル内のカジノで可愛くスロットに触れ期せずして統合型リゾート視察の大義名分も加わり、ポーカー部屋の賭場の如く真剣な顔触れに気圧されすかさず退散したが、国境を超えるとそこは再びデトロイトだった。究極の行き掛けの駄賃、パスポートに加わったウインザー・トンネルの文字は想い出にとっておこう。

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