コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

2月6日(木) オリジナルでもスピリッツ   -スポーツ - プロ野球-

g579.jpg  「あぶさん」が従来の野球漫画と異なっていたのは現実の南海ホークスという球団を舞台に、一人の控え選手を狂言回し的に盛り込んだ構成にあったろう。勿論、「巨人の星」や「侍ジャイアンツ」にも長嶋、王をはじめV9時代の著名選手は多数登場していたが、主役たる架空の人物達の引き立て役に過ぎなかったのに対し、例えばシーズン17勝を挙げながら稀少な左投両打の内野手に転向した林俊彦選手が一塁を守っている様な細かな描写にコアな職業野球フリークは牽かれたと言ってよい。
 しかしながら77年シーズン末の野村解任以降、坂を転げ落ちるが如くに没落した南海ホークスからバブルそのもののダイエー傘下への転換に歩調を合わせる様に、景浦選手が常軌を逸する大打者へと変貌を遂げてから「あぶさん」自体も大きく変質したと言ってよい。しかも年齢を重ねていくリアリズムがかの伝説のニグロリーガー、サッチェル・ペイジをして為し遂げられなかった還暦を過ぎてなおレギュラーてあり続ける矛盾を呼び、指導者として主役を代替わりさせるまでには実子が魅惑的なキャラクターたり得なかったが故の今般の終焉なのだろう。
g580.jpg  酒も控えて健康そのもので唄い続けるミック・ジャガーとドラッグで夭逝したブライアン・ジョーンズの、何方が物語として美しかったかは敢えて問うまい。

 あぶさんのモデルとされた実在の選手には名字の由来となった戦前の阪神・景浦選手や27代打本塁打の世界記録保持者、阪急・高井選手ら品評は数多かれど、契約金で居酒屋のツケを返済したと言われる、近鉄・永渕洋三選手が本命とされている。
 新人時代は投手、外野、代打の三刀流、翌年には張本勲と首位打者を分け合いながら酒量が祟って肉離れに悩まされ、入団時の監督だった三原脩氏球団社長を務める日ハムに招聘したが再起は叶わなかった。
 ただ印象としては力道山の、現代では微妙な響きのある「義兄弟」であった森、確執から放逐された監督に再び見えて引退を余儀無くされながら、グローバル・リーグという如何にも怪し気な団体に踊らされる数奇な野球人生を辿った森徹氏の破天荒さが、何と無くあぶさんにはより相応しかった気がしないでむやまない。
 御冥福を御祈りしたい。

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