コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

12月9日(月) 賽は投げられた  -政治・経済 - 政治・経済・時事問題-

 嘗て米価・麦価や予算の時期になると自民党本部の一階に各種農業団体が陣取り、到来する議員を須く万雷の拍手で迎え、その実会議における発言にプレッシャーを与えていた光景を、他人事ながらお疲れ様と眺めていた記憶がある。勿論、その際には数年後に自らが税調小委へと向かう議員にアジビラを配る羽目に陥ろうとは夢にも思わなかった。 自民党における「部会」というシステムの秀逸さは、本旨たる政策・法案審議に留まらず幹部へと階段を登る中堅議員の登竜門と若手議員への教育の場を兼ねている点にある。
 ただ大衆討議が容易に衆愚政治に陥る様に部会そのものは意志決定の場ではなく、言わば開かれた桟敷席、アリーナであって、だからこそ支援団体へのアピールの場であると同時に、丁度裏返しに業界側から見れば勤務評定の舞台でもあり得ている。
 詰まり真実の判断は幹部による奥の院の差配であって、理解活動を試みる側に立てばより洗練された手法は秘めやかに決定権者への陳情を試みるに他ならない。にも拘わらずたとえ自民党本部という限られた空間であっても示威行為が如く挙に及ぶのは、ひとつには文字通り存在証明の為のデモンストレーションであったとしても、第一義には開かれたアリーナにおける議事の行方が決定権者に何等かの影響を及ぼす効用に期待しての挙動に他ならない。
 業法により実質的に企業の生殺与奪を握られている金融、運輸、エネルギーといった、敢えて言えば"規制"業種と異なり、製造業は基本的に監督官庁と方向性を異にすることはない。従って、官と対峙する為に政治を利用するという感覚は無く、寧ろ政治は緊急事態への"保険"であったというのは既に政治学者に依っても語られているところであろう。
 しかしながら本来独立独歩であった筈の業界が税や補助金をはじめとした政治との関わり、より率直に言えば政治に依居するところが増大しているとするのならば、それは美しく言えば産業の成熟化、より卑近には頂点を越えて緩やかな下り坂を迎えつつあるひとつの指標に他ならないのではなかろうか。
 絨毯爆撃宜しき再三の議員会館訪問を経て人目も顧みずビラ配りに勤しむ光景には、確かに自らの存在意義を再確認出来る局面ではあるものの、一方で今やルビコン河を渡り切り二度と再び後戻り出来なくなりつつあるのではないかという幾分の懐疑もまた覚えざるを得ない。

 汗は自分でかきましょう、手柄は人にあげましょう。私はまだ到底、竹下登先生の域には到達出来ない様である。未だ木鶏たりえず。

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