コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

9月7日(土) 車の恩返し  -地域情報 - 名古屋・愛知-

g395.jpg  本来はひと月早い関東の七月十五日近辺が正式なのだろうが、今年は逆にひと月遅れの墓参行、名古屋訪問である。
 禄を食む企業が愛知に本拠を据える構造上、当該企業に纏わる名所・旧跡には事欠かないが、そろそろ子供達の社会科見学にも良い案配かと名古屋駅から程近い産業技術記念館に足を伸ばす。
 最早偉人伝の範疇に属する豊田佐吉翁が自動織機を発明、実用化し、わが国産業革命の一翼を担ったその発祥の地に、往時から現在に至る自動織機を勢揃いさせるのみならず、実稼動可能な状態で現に模擬実演を繰り広げるところが売り、産業遺産兼教育機関の名が相応しい建造物である。
g394.jpg  わざわざイヤホンガイドも借りてみたが、寧ろ前段の機織りの大量生産化に至るまでの創意工夫を、ベテラン技術者と思しき説明員氏が編み出された現物の披露も交えながら子供の興味も逸らさぬよう手慣れた解説を施して呉れるのが有り難い。
g396.jpg  一方でより機械化が進んでからはエレベーターガールの如き女性添乗員、更には実直ながら職人気質で必ずしも話術の巧みでない説明に委ねられ、憂うべき若年者の理系離れの観点からは喜ばしかろうものの、文系そのものの父母には些か不可解と言うべき高い理化学への関心を示す祐旭には好都合であっても、年齢的にも公資の興味を繋ぎ止めるのは流石に難しかった。元より大量生産化の伸展に伴い家内制手工業らしい可視性が薄れ専門領域の範疇に昇華すれば科学館的な明解さ、エンターテインメント性から解離していくのはやむを得ないのだろう。
g397.jpg  後段の自動車はサラリと流したが、ゴム動力のチョロQ擬きの製作コーナーが、本家工場生産同様に桝毎に分別された部品を流れ作業でひとつひとつ単純に捕捉していけば不具合の生じないシステムに誂えられているのが、合理的には違いないが悪く捉えれば人間の裁量を信用しない峻烈さもまた内包している様で幾分不気味だった。
 御仕事での到来ばかりだったので父も遊戯場、テクノランドは初の御目見えだったが、取り分け水車擬きを回転させての電子的機織りが秀逸だったろう。糸編華やかりしき縁を現代に翻案した様なギミックは、織機から自動車、住宅へと世代交替して来た第二次産業の旗手が、過去の栄光たる遺産に留まらず現役であり続けている象徴として、この博物館に相応しかったのではないか。

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