コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

10月29日(木) ドライブに連れてって  -政治・経済 - 環境・資源・エネルギー-

h278.jpg  モーターショーといえば未だに晴海の印象が強いが、自身の経験則を振り返りみれば幕張時代は広報担当の宛職当番として、マスコミの訪れる筈も無い平日に所在なく立ち尽くしていた記憶がある。
 有明に居を移してからは、公的な開会日前に行われる特別招待日に現れる政治関係者への対応となったが、全体のアテンドは主宰者たる団体サイド、中身の説明は専門家に委ねるので文字通りの顔見世興行、ケア申し上げておりますというアピールに他ならない。
h279.jpg  して出展企業の特典としてパスを頚に下げて昼過ぎに到来するとあにはからんやガラガラで、残念ながらカメラ小僧が群がる様な綺麗処に費やす経費は大幅に削減されたと見受けられるものの、物見遊山を兼ねて撮影に勤しむ。
 ところが14時半を回ると状況は一変、続々と一般客が群れなして入場して来るではないか。特別招待日のプレビューデーへの衣替えに伴いプレミアム・チケット扱いになり、その解禁がまさにこの14時半であるとはお釈迦様でも気付くめえ、あっという間にバスケットの岡山選手でも無ければ人の山にかき消されて最早ステージ上の自動車は影も形も無い。
h280.jpg  当然現れる要人も満員電車宜しき混雑を潜り抜けての視察とは、市場低廉を反転させるべく自動車産業の発展可能性を演出するには好都合だが、明らかに一万人限定を騙ったプレビュー・チケットが過剰に頒布されていたのではないかと主宰者に疑念を抱かざるを得まい。
 幸い顔見世の合間に、比較すればまだ余裕のある他ブースも回游したが、年々「環境」嗜好が強まり遊び心が乏しくなる中で、中では手乗りミニロボットが目を引いた。製造過程における自働化技術を転用した自動車会社のロボット分野への進出は人手不足の解消にも資する介護用途が着目されているが、ナビゲーションとの連繋は本業との相乗効果も見込まれ、より異分野感も薄れよう。
 助手席は裳抜けの殼で、車軸の上に据えたロボットに「最近遠乗りしてないね~」などと誘われて出掛けていく姿は、若年層のコミュニケーション離れを象徴している様で幾分不気味ではあるけれど。

10月28日(水) 讃岐水素  -政治・経済 - 環境・資源・エネルギー-

h272.jpg  自動車自体のタマ不足から少しずつ話題性を喪いつつはあるものの、当面ステーション設置の計画も無い香川県からわざわざ県議団のご視察に預かるのだから水素社会の波は水素そのものに先立ってわが国全土へと波及しつつあるのだろう。
h273.jpg  ただ採算性を度外視したステーション設営にはエネルギー産業側も前のめりではあるまいとの認識があったが、ガソリンやLPガスともバッティングしない水素単営企業にとっては版図拡大の好機に他ならず、寧ろ日石やガス会社の手垢に塗れていない地域こそ早期に唾を付けておきたいフロンティアなのかも知れない。
 あと数日でクールビズの終焉する端境期に、別口で頂戴したうどんネクタイ(左写真)を頚に巻いていくのを失念したのは、この機を逃すと利用の目処が立たないだけに痛恨であった。
h274.jpg  無事午前中で一行を送り出し数寄屋ハンバーグに潜り込む。吸血鬼に襲われないのは痔主なぞとひと昔前の喫茶店の如く、駄洒落か蘊蓄か判然としないクイズ集が掲げられてたのは暇潰しに資する趣旨であり、その混雑は店舗の狭小さ以上に調理時間=悪回転率に拠るものではあろう。とはいえ野菜の中では最も食可能に分類されながらも肉との混在が好んで口に運ばせないハンバーグにも拘わらず私の食が進んだ様に、店を後にする時分には結構な行列であり美味には違いなかった。

h275.jpg  昨日は夜半21時半に塾から帰着する祐旭に併せて父も帰路を急ぎ誕生祝を営んだ。
 前日は宿題対応を巻き上げてわが家にて御誕生会と洒落込んだ模様だが、嘗ては定番だったそれも昨今は開催自体が稀らしい。それは住宅事情もいざ知らず物品のやり取りに親側がナーバスになっているからだろうか。
 自らを振り返ると、プレゼントを持参しない知人の参加を頑強に拒むべく主張していた記憶があるが、互いに他者の会には応分の「御祝い」を包むことで対等性を演出すべく政治資金パーティ同様の観念が、児童にして既に敏感に働いていたということだろうか。恐らく12歳になった祐旭にはこうした拘りは皆無だろうが。

10月25日(日) 素敵なバーディー  -スポーツ - ゴルフ-

h271.jpg  前半ラス前の17番、第二打140ヤードを見事2オンするとほぼ同じ距離を左右対象に付けた同伴氏の下からに引き続き、上から流し込んでミドルでは今年初のバーディを獲得する。更にアウトに回っての6番ショートでは180ヤードをナイスオン。こちらの方がより近かったものの惜しくもワンパットは逃したが、あわや史上初の一日2バーディを成し遂げるところだった。
h277.jpg しかしながら蓋を明けてみると実にトリプルが6ホールあり百丁度とは、出入りの激しさをブレイクスルーの予感と捉えれば期待の持ち様もあろうが、勿体無いと言わざるを得まい。
 10月末でも半袖で支障ない陽気に加えて、久能、カメリアとともに当部局の三大メッカにも拘わらず漸く初御目見えしたよみうりカントリーの余りの至近さには、却って後ろめたさを覚えて仕舞ったが。

 十月から切り替わったフネ氏の声に初めて接する。一斉に代替わりしたドラえもんに対してサザエさんはカツオ、ワカメ、波平と五月雨式の交替となっているが、新しい皮袋ならぬフネに付いては前任との声質の類似には重きを置かなかったと見受けられる。
 幾ら変わらぬドル箱であったとしても、サザエさんは加藤みどり氏と命運を伴にしても良いのではとも思う。

10月24日(土) 貴方はメロディメイカー  -音楽 - J−POP-

h269.jpg  一十三十一氏のニューアルバムを一聴して感ずるのは、詰まるところ琴線に触れるのは今般もまたクニモンド瀧口氏のコード進行が異様に難解にも拘わらずメロディは古の歌謡曲の如く自然に受容される楽曲群に留まり、全編クニモンド節の『City Dive』を超える佳作には巡り会えなかったと言わざるを得ない。 元よりシティポップのガイド役、入口としての一十三十一氏の功績は小さくなく、ノーナリーブスに取っ掛かりを得たのもまた氏経由に他ならない。
 ただ歌唱力というよりは寧ろ声質なのかも知れないが、一十三十一氏の適度に粘着性のある甘い響きが、同じ性向のある西寺郷太氏を必ずしも肯定的に受け止め得ないのは、個人的な嗜好の為せる業には違いないものの、男女の相違に起因するものだろう。
 寧ろ西寺氏において驚愕に値するのはその文章力ではないか。音楽に関する分析は、専ら筆者の体感に基づく随想か「坂本龍一全仕事」に典型的な矢鱈専門的で常人には到底理解不能な学術本に二分されるところ、氏のそれは体験を踏まえつつ楽曲の構造のみに留まらず社会背景をも勘案した"解説"になっている。更に特筆すべきは「噂のメロディ・メイカー」なる、Wham!楽曲の日本人ゴーストライター説を探求するノンフィクションと随筆の中庸の如くある逸品で、御当人も中で述べている様に結論が得られない、その過程の描写に留まる著名たり得てからの沢木耕太郎型手法は本来のノンフィクションの作法としては誉められたものではないものの、語り口がそれを補い謎解きが恰も探偵小説の趣きを醸し出している。
 元より音楽家としての力量に文筆わ、加味する必要は無いが、西寺氏が過去の楽曲の分析力に長け、大衆受けする楽曲を職人として制作し得る資質の持ち主であることはよく理解出来た。アルバムを何枚も聴いたノーナリーブスの曲そのものに些か食傷、と言うべきか厭きが来たのはメロディメイカーとしての本能が先立って職業音楽家に徹していたい証しとも言えようか。

h270.jpg  自身は年々衰える声に滅多にマイクを握らなくなった替わりに、また玩具として入手したYAMAHAのミニミニエレピreface CPを持参し、内蔵アンプ・スピーカーがカラオケの音量に耐え得るかを検証する。
 声変わり前の公資のルパン三世、雪の華と矢鱈と低く響く祐旭の世界の終わり、ゲスの極み楽曲が好対象を為しているが、二人とも相当な歌唱力に感ずるものの校内でも特段秀でた存在ではないらしい。幼少時から音階を伴う発声機会の絶大に増えた現代の若人にとって、耳から口に掛けての音階の観念はひと世代前とは全く様相を異にしており、12音階に紐附けた絶対音階として耳から手に降ろす感覚と既に大差無いのかも知れない。

10月23日(金) 江川と掛布  -スポーツ - 読売ジャイアンツ-

h267.jpg  原監督の「勇退」が正式発表される前からスポーツ紙を賑やした後任江川氏の報道には心踊らせていた。結論から言えばそれは恐らくは営業サイドの願望が齊した観測気球に過ぎず読売新聞本社は端から高橋新監督への禅譲が既定路線であり、だからこそ既に今年から兼任コーチの肩書を賦与して不測の事態に備え、現にその事態が到来して恰も大相撲の親方に二枚鑑察が許されない様に、現役引退の代償を払ってなお監督の座を選択せざるを得なかったのだろう。
 神宮の星だった高橋選手が入団時、ヤクルト逆指名を望みながら渋々巨人入りを余儀無くされたのは実家の借金の人身御供故とも揶揄されたが、結果として三宅大輔、水原茂、藤田元司と断続的に続く、阪神の早稲田に呼応する慶応閥の巨人の系譜に連なったのは、当人の野球人生において幸福であったか否かは別としても、王道の帰結であったとは言える。
 折しも阪神には金本監督が誕生し、奇しくもセ・リーグの監督は全員が私と同年若しくは年下になるという世代交替の波にも合致していよう。
h268.jpg  それでもなお嘗て職業野球がわが国の文字通り「国技」が如く地位を占めていた時代に、その勝敗に一喜一憂するスタアであった江川卓氏のユニフォームをもう一度見たかったという想いは打ち消せない。それは江川氏のライバルであり、ともに30代前半で早々にグラウンドを後にした監督こそ叶わずとも二軍監督として復帰するとの報道によって倍加したとも言えよう。
 愛知県に幽閉された八年間における最大の利点は84年オールスター、今は亡き中日球場で見た江川投手の八連続奪三振だった(写真)。既に百球肩と揶揄されながらイニングの限定されたオールスターでは怪物の面影を発揮し、にも拘わらず九番目の打者大石の三球目にカーブを投げて江夏に並び得なかったところも実に江川らしかった。
 横浜がラミレス新監督を迎えた様に、江川監督ならば時に茶目っ気の如く肩透かしを織り混ぜながら魅せて勝つ野球を展開してくれるのではないかとの淡い期待は、どうやら永遠に夢と消えそうである。

10月20日(火) さよならマハール  -グルメ - カレー-

h264.jpg  出向時代は敢えて混雑を避け13時からパリジャン、パリジェンヌもかくやの優雅な昼食に繰り出していたものである。矛先は近場の四川飯店は元より赤坂方面に及ぶこともあり、旧制府立一中を尻目に腹ごなしとばかりに帰路も山王の山を超えて健脚を披露する中で、定番のひとつにカレーのタージがあった。
 昼から本格印度カレーに舌鼓を打ちチャイで消化を促進していたが、美味は勿論のこと白米が隠れる迄に大量のルーを所望する私にとってバイキングは余りにも好都合だったのである。
 残念ながらビルの建て替えにより程無く閉店の已む無きに至ったが、そのタージが再び赤坂に居を構えたと風の噂が届いたのもはや数年前だったろうか。して今般勇躍凡そ九年振りの再訪に至ったのである。
h265.jpg  ところがいざ赴くと看板は掲げながら準備中の札が我々の行く手を阻んでいるではないか。年中無休の店舗が昼の書き入れ時に休業とは不可解極まりないが、電話も出ないし検索するとHPも閉じられており、夜逃げでもしたのではと疑われる風情である。 近隣の中華まで歩いて胃腸は事なきを得たものの、結局かのタージとは再び見えぬままである。あの頃も遠くなりにけり。

 こう書くと恰も羽根を伸ばしてばかりの様だが、現実は月末のイベントを控え営業マンの如くにチケットを配り歩く途上の、ほんのひと駒に過ぎない。
 幸か不幸か同僚と練り歩いていると、国会の狭間で議員事務所も比較的余裕があるのだろう、単身赴く以上にまあお茶でもとお声掛け戴き身銭を切らずとも食後の珈琲にも何杯も預かる展開になる。
 軒先で失礼して絨毯爆撃出来れば効率的な筈だが、逐一逗留していては日が暮れてしまう。一方で配布物も訪問のためのツールのひとつと考えれば世間話から花が咲く事態もまま訪れるから、情報収集には有用である。 ということで良い仕事をしましたと日記には書いておこう。

10月17日(土) 時代おくれ   -コンピュータ - Windows-

h263.jpg  仏国では個人携帯はフライトモードのままにして着信チェックに屡々通信回線をオンした筈だったのに、Wi-Fiを旨く活用しなかったおかげで一週間で一万円を超える個人負担を被った程に通信事情に疎い私である。
 だから又もや関係会社様の御厚意により新たなiPhoneを貸与戴くが、今般は大きさも変わらず何が新しい機能かの情報にも疎く、そもそもiTunes替わりと目覚まし時計という贅沢な利用に留まっているので宝の持ち腐れ以外の何物でもない。
h262.jpg  同様に妻のPCが、こちらは動作不良で買い換えるに至り、矢張り何等のガイダンスも無く更新に必要なパスワードがメールで届いてもメールソフトを開くにもそのパスワードを要求される堂々巡りから悪戦苦闘、一昼夜を費やして漸くWindows10に到達した。 しかしながら未だビスタの私には立ち上げてから更新開始に至るまでの短い命だったWindows8の特色すら知る由も無く、10の有り難みも解説出来ない。何時の間に「目立たぬよう、騒がぬよう」になって仕舞ったのか、最早デジタル・デバイドの貧困サイドに位置している現実に愕然とせざるを得ないではないか。
 勿論ひと世代ふた世代前の旧機でもゲームとデータ管理程度ならば何等の支障無く、私のビスタ機は既に7年目を迎えているが、間の悪いことは続くものでデータを格納していたサーバーが突然お釈迦になったのである。居間からのアクセスを勘案してわざわざLAN経由にしたのが余計な負担を掛けたのかも知れないが、幸いにして先月バックアップを取っており、加えて行動記録表はスマートフォンに移して日比更新していたから大きな損失に至らなかったものの、何事も「最新」に触れておくことも実利とは別個に有用なのかも知れない。

10月10日(祝) ラーメン食べたい  -旅行 - ヨーロッパ旅行記-

h247.jpg  フルコースの旅を終え帰路の機内でラーメンとうどんを賞味したとはいえ、無性に恋い焦がれたのはカップ麺の味というところが日本人らしい。
 同時にリゾートはSPAと言っても小振りなプールのみ、パリのプチホテルでも浴槽には浸らなかったから、先ず以て風呂桶に湯を溜めることから本邦生活への回帰は始まった。
h261.jpg  幸い三連休なので土産の整理ぐらいで後は怠惰に過ごせるのが有り難い。行商人宜しく鞄に詰め込みながら結局自らへのそれはゴルフのマーカーぐらいだが、暫くするとサンテミリオンからワインボトルが空輸されてくるのでわが家でも賞味しよう。
 [追記]無事到着したが、運賃後払いを認識しておらず随分と高いものに付いた。

h248.jpg  受験に向けては学力は元より当該校への入学意欲の高揚もまた肝要であり、従って事前の接触機会には多忙を縫ってなお駆け付けることになる。
 それに付けても中高一貫の学園祭にしてなお、対受験生という顧客嗜好だったら大したサービス精神だが、必要以上に思内容が子供向けにみえる。勿論、周域の児童幼児に向けた地域開放たる側面もあろうが、考えてみれば所詮ティーンエイジャーの行動様式など嘗ての自らに照らしても人生の後半期から見れば大差無く映るのかも知れない。
 そのまま中野のSAPIX土特へと搬送する慌ただしい土曜の昼。

10月8日(木) ボナとパルト  -旅行 - ヨーロッパ旅行記-

h241.jpg  最終日にして遂に朝の散策に赴く。宿泊のプチホテルもまた一階にオープン店舗を擁する旧くからの建造物だが、百年住宅が成立するのも地震の無い強固な地盤故だろう。思いのほかオペラ座が近く、散歩はあっという間に完結した。
 当初予定ではゆるりと土産物色だったが、メインゲストと示し併せてマニアックに軍事博物館詣を提唱してみる。アンバリッドに佇むそれは余りにも広大で、建家の中を迷いつつ向正面のナポレオン一世の墓碑から攻めるが、墓石が地下に安置してあるのは来訪者が須く頭を垂れる構造というのは本当だろうか。万世一系のわが国には王統が入り乱れあまつさえベルばらにもワンシーン、眥鋭き若き将校としてしか登場しないナポレオンが帝冠を抱いた事実からして想像に絶しようが、大阪城に赴いて秀吉の栄華に想いを馳せるのと同趣旨だろう。
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 思わずナポレオンのミニチュアまで購入して仕舞ったが、美術工芸には造詣が薄く結局ルーブル含めて美術館は全てパスしたにも拘わらず、定番コースから外れてオーラスに軍事博物館とは実に視察らしかろう。
 ただ結論から言えば肝心の展示は軍服ばかり、兵器はヴィシー政府の友国たる独逸のV2やら丸で第三帝国の見本市の様で、改めてかの国が敗戦国であることを思い知らされた。幸い韓国のそれの如くわが国への明快な敵愾心は窺えず、却って真珠湾同様、大日本帝国の最大版図が掲げられていたのは幾分誇らし気に映ったが、逆に言えばレジスタンスに忙しく一戦交えもしなかったわが国のコーナーまでも設けなければ広大なスペースが埋まらないのだろう。
 残念ながら時間切れで公共交通機関には遂ぞ搭乗叶わず、幼少時に階段を降りた瞬間に金切声が響き、視線の先に叫ぶ女性の傍らに刺されてぐったり座る男性と凶器を抱えたまま走り去る賊の、阿鼻叫喚の光景を垣間見た地下街の悪しき記憶は払拭されないままとなった。

h245.jpg  昼は又してもパワーランチで、道路局繋がりの某機器メーカーの現地支店長の方とはITSに相応しい人選と言うべきか。邦人一名で20名以上の現地スタッフを差配されているとは豪気であろう。小規模なりとはいえブックオフも佇む日本人街の一角にて最終日にして日本料理である。とはいえ前菜、魚、肉、デザートの仏仕様だが、仏人客で満席とは農産物の使途拡大に資するかは兔に角、わが国食文化への高評価と受け止めたい。
 その足で四人となった一行はギャラリーラファイエへと向かう。社費で贅沢三昧した罪滅ぼしでもなかるまいが、悩ましいのは会社への土産であり、不在の間の後衛としての御恩に応じて傾斜配分するためにも個数を用意しなければならない。
h246.jpg  既に聖エミリオンからは自家用含め六本のワインを空輸し、ボルドー名産のマカロン、カヌレは日保ちがしないため空港にて見た目がマカロン擬きの砂糖を調達しているが、栗ベースのペーストやらチョコレートやらを積み増す。加えて小綺麗と評判のエコバッグを求めてスーパー・モノプリまで足を伸ばし、丸でサンプルを持ち帰る行商人の如くに在庫を一掃しそうな勢いで仕入れ、案内戴いた支社長様に別れを告げてスーツケースをピックアップしてなお空港でお買い物とは実にサラリーマンっぽい。成田・羽田の豪華絢爛な免税店を見慣れた口には余りに貧相で面食らったが、昨今の円安で些か効用が鈍ったとはいえブランド品は本店で買うことに意義があるという観光大国の矜持たろうか。
 行きに映画を見過ぎたので帰路は少し退屈だったが、流石に食べ厭きた肉はスルーし全日空のラーメンとうどんを堪能して長旅を終える。帰路は王様にあらず窓側だったが、到着すればはや金曜日。ゆっくりと休もう、何方様もお疲れ様でした。

10月7日(水) 隅田川の夜は更けて  -旅行 - ヨーロッパ旅行記-

h228.jpg  パリ来訪はウィーン駐在の父を夏休みのひと月強を母と訪れた二度目の昭和54年来、実に36年振りである。従って主な観光地はひと浚いしていたとしても、ほぼ御上りさんに近い。
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 そこで本日は定番コースをひと巡り、先ずは朝からパリ市発祥のシテ島、ノートルダムに見参する。残念ながら傴男には邂逅出来なかったが、寧ろステンドグラス溢れる内装やガイド氏に熱心に教授された12使途の見分け方よりも、その複雑怪奇にして多彩な様相を魅せる外観を四方八方から拝察したのが都市評論家の歓心には叶っていたろう。サンテミリオンでは蝋燭の替わりに一本幾らで釘を打ったが、セーヌ川を跨ぐ凡ゆる橋梁にはカップルが願掛けの錠前を括り付けている。過積載で禁止された地域もあるそうだが、男三人でこれ以上絆を深めても仕方あるまい。
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 オリジナルの自由の女神に拝謁して公園の突端に位置する上院の周囲を散策し、次いで下院を車窓から眺めるとは永田町に棲息する一群らしき行動だろう。銃を抱えた警備員は憲兵というよりは近衛兵の呼称が相応しく見受けられる。折しもわが国では内閣が改造されメールの対応に追われたが、議面らしき入口が見付かっても当然記章では入れてはくれまい。
 ただ下院に差し掛かる辺りでガイド氏が「あの三人組の風体は危ない」と解説した直後に当の若人が不穏な動きを見せ、経ち処にパトカーが現れて引っ立てられたのには畏れ入ると言うべきか、水も安全も只でない社会における自衛の為の勘所の意義を窺い知らされた。未成年者として放免される予定調和の犯罪とは国家も社会も救われないが。
 愈々オーシャンゼリゼへと闖入するも渋滞なお激しく、観光旅行ではなく国際会議随行後の視察たるを装う為にも自動車会社のショールームへと一旦待避するが、議員の属性には博覧強記であっても車に付いては御手上げである。更に昼はボルドーでもニアミスした元上司とITS世界会議談義たる口実には事欠かない昼食懇談と洒落込むが、文豪が再三訪れたビストロで軽め軽めを心掛けながら、学習能力無く莫大な残飯を築いてスラムの充実に一役買うことになる。
h257.jpg 午後はバブル期の金萬家には及ばぬものの妻への土産としてヴィトンのバッグを漁り、慣れないブランド買いに気後れして財布も買わされそうになるところを耐え忍んだ上で、途上には幾分悪趣味ではあるもののかのダイアナ元妃の謎の事故死のトンネルを経由してエッフェル塔を定番のシャイヨー宮方面から臨んだ。電波塔として命脈を保ったものの当初は仮設のパビリオンだったとは驚くが、革命百年の万博が如何にパリの街作りに重きを為したかの最たる証明でもあろう。
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 高円寺南にもその名を残すエトワール凱旋門は気力を振り絞って螺旋階段を登り切り、四方八方への放射街路を一本一本見分する。遠く臨む新凱旋門は更に一世紀下った革命二百周年記念であり、ミッテランの社会主義二期目の治世を祝ったものではない。幸い降路はそれ程膝は笑わなかった。
h260.jpg  そして丘を登ってモンマルトル、画家の玉子が群れなしてと散々喧伝されながらいざ到達すると波平氏の髪の毛ほどに疎らで拍子抜けした幼少時の記憶が残っているが、今や縁日の露店の如くシマ毎に画家が犇めきすっかり観光地化されているのには驚いた。
 相次ぐ渋滞は一面適度な休息として寄与してはいるものの、結局地球の歩き方のグラビアを占める様なメジャー・スポットに留まり、追加のワイン購入を経て帰投した。

 そして昼のパワーランチに続いては視察らしく夜もゲストを迎えるが、セーヌ川から再び眺めるノートルダムの、朝方モンマルトルの壁画で御目に掛かった通り、わが方ははや最期の晩餐である。
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 ポンポン船に天麩羅を揚げる油を乗せてという風情ではないが、屋形船を摂遇ソフトとパッケージで輸出したら存外に好評を博すのではなかろうか。わが国では見えない新橋の欄干を潜るのも一興だろう。
h240.jpg  折り返し地点からは自由の女神とエッフェル塔のツーショットを拝むが、午前中拝察したリュクサンブール公園のそれがオリジナルであり、こちらは又しても革命百年記念にニューヨークから逆輸入したものという。福留アナの「パリに行きたいか」とのシュプレヒコールが聞こえそうだが、現代の若者には更にレプリカのあるお台場の光景の方が馴染みがあるのかも知れない。
 些かワインを飲み過ぎた様でへべれけになった。日本酒より酔いが回るのはそもそも体質に合わないからか、或いは屋形船の揺れに依るものか。この旅のオーラスにして初めて、宿のベッドに衣装も解かず突っ伏して仕舞った。
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