コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

7月31日(水) 函館幕府のいただきで  -地域情報 - 北海道-

g329.jpg 朝風呂を浴び、チェックアウトの際の中国人バスの群れに再び畏れを為すも、行き着く先は五稜郭、先ずはタワーに登壇する。残念ながら昨年東山で入手したタワー・スタンプ帳は持参しなかったが、王政復古の大号令の最期の関門となった地に足を踏み入れるのは感慨深い。
g330.jpg  ただ幕末が注目される構造は理解出来るものの、ここもまたグッズは土方ばかり。祐旭に煽られタワー・キャラクターのGO太君こそ購入して仕舞ったが、生き永らえた榎本の存在が霞むのは判官贔屓の為せる業だろうか。僅かに家督を継いだ甥が居住しただけの龍馬記念館すら存在しているのだから、蝦夷共和国総裁・榎本武揚と千島樺太記念館ぐらいは観光・学習スポットとして拵えて欲しいところである。
g331.jpg  五稜郭内部に闖入すれば、 立派な函館奉行所が再建されたのが10年、タワーが06年と幕末人気に乗じて着々と観光整備に務める函館市の強かさが伝わってくる。子供達は寧ろ内側から外敵を駆逐するのに障壁になりそうだった外壁の武者返しは素通りしたものの、釘を使わない日本建築を解説する奉行所ビデオには揃って釘付けだったことを竹中工務店にお伝えしたい。

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(上)函館、(下)旭山動物園にて
 残念ながら退散する折りには雨となり、 建屋が妙に情緒あるレトロモダンの店で塩ラーメンを賞味するが物足りない。初日の札幌でもガイドブックに連れられたらもやし臭の強い変則味噌だったし、旭山動物園内の豚骨ベースの醤油も含め、ラーメンには的を射ない旅だったろうか。或いは札幌発祥の味噌はじめ北海道産ラーメンが既に全国に市民権を得た証しとも言えようか。
g334.jpg  異国情緒溢れる旧英国領事館や旧函館区公会堂で正当な観光客モードに回帰して、夜景をパスした函館山に歩を進めたが、雨こそ落ち着いたものの上空は激しい霧で麻原状態、やむを得ず途上少し角度は低くとも霧には紛れず前方の開けた空間から、少し潰れた定番のハート型の半島を撮影、タワーからも津軽海峡はおろかここ函館山すら拝めなかったし、台風で飛行機が欠便した沖縄とは雲泥の差とはいえ、天候には必ずしも恵まれなかったのは玉に傷だった。

g335.jpg  詰め込みの旅の帰結として最終日は時間が空いて仕舞い、再び湯の川温泉に引き替えし熱帯植物園では、夏なので温泉に入る猿こそ拝めなかったが、再三の餌付けに及び四十五肩で遠投した餌を最上段の猿に見事キャッチされ存外に楽しい。
 しかし同温泉発祥の地たるに由来する足湯に触発されたか、どうしても風呂に入りたくなり温泉には違いないくもどう見ても地元の銭湯風情に駆け付けたら内湯から露天に抜ける回廊構造は面白かったものの、源泉掛け流しが熱過ぎて高温浴槽は到底入れず。それでも風呂フリークも尋常を越し、男三人わざわざ入浴料を追加して新館にも潜入したが、ほぼ同じ構造の上に更に熱い風呂を堪能する羽目に陥り、今度は低温すら足を踏み入れる所ではなく、逆説的に北の寒さ厳しきを痛感したのであった。
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五稜郭で唯一発見した榎本フィギュアと土方もっこり
 オーラスは煉瓦街で小樽で遣り過ごしたオルゴール館を賞味、小樽同様港町の嘗ての隆盛は偲ばれ、GLAYが地元ヒーローであることこそ確認出来たものの他は単なる土産物街に過ぎず、収穫は土方もっこりのみだった。
 漸く良い案配かとレンタカーを返して空港に到着すれば勘違いしていて既に出発間際、慌て食糧を調達して帰路に着いた。最後まで段取り不足、出た所勝負の旅だったが、それもまた良き、お疲れさまでした。

7月30日(火) 鬼が天井からポタリと背中に  -地域情報 - 北海道-

g318.jpg  三日目にして定番の早朝単独行は札幌ドームだが、タクシー運転士には「AKBですか?」と数日前から席取りに勤しむマニア宜しく訝しがられるも、復路は始発の地下鉄で札幌名物ゴムタイヤを垣間見、市電も撮影して朝食に臨むとは我ながら抜け目無い。スープカレーに手を出す人が見受けられないのは早朝故か、或いは存外に不評なのか。
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 昨日は料金込みの朝食バイキングすらパスしたが本日を8時過発ヘッド・スケジュールとしたのは長駆移動の一日故である。しかしながら高速に乗るまでの時間の経過は、勿論都市高速の不在にも由来しようが、碁盤目状構造特有のオール・レッドの長い歩車分離信号の為せる業であり、かつ総じて低速で先を急がない運転特質に依ろう。その大陸的なおおらかさが、大きな観光収入源とはいえ目抜通りの馬車の闊歩を可能にしているとも言えようが。

g319.jpg  本日の最初の目的地は、妻が子供時分にフェリーにて来訪した登別くま牧場である。ロープウェイの途上、山肌にいきなり鹿を発見して「野生の馬」改め「野生の鹿」を唄いつつ山頂に登ると、早速ブランコや丸太渡りの熊の芸に遭遇する。驚くべきは中国人通訳が雇用されていることで、流石にわが国2673年に対しおよそ4000年の大陸国である。札幌でも所々見掛けたハングルが用を足していないのはウォン安に踊った韓国経済に陰りが見えたが為か、或いは緯度も大差無い地域は魅惑に欠けるのか。だったとしても旧満州からの渡来が皆無とも断言出来ないし、雪が珍しいならわざわざ夏に来ることもなかろう。意外なところで北海道の観光に尽力する意気込み、ビジット・ジャパンにおける頼もしさに直面した。
g322.jpg  子熊と対面し成蝦夷ヒグマには餌投げ、人間が熊舎内の通路を亘る人のオリからも餌付けして撮影用に目線も要求してみたが、流石に熊もそこまで芸達者ではない様だった。
 妻に依れば往事は現状以上に熊だらけの面持ちだったらしいが、アヒルのレースに熱狂していると祭りの如くハレの賑わいも微妙に醸し出される山頂の異空間には他ならなかった。

 残念ながら曇天でクッタラ湖は拝めず、下山後再会した地獄谷にも既視感が無い。確かに高速を降りた瞬間に迎えて呉れる巨大な鬼こそインパクト満載だが、宿泊した第一滝本館の名にも僅かに記憶が甦る程度とは如何に往事の視察が自衛隊巡りに血道を挙げていたかが伺えるものの、本日は先を急ぐ。
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 ただ折角次に訪れた洞爺湖でも霧が晴れず、加えて山道に妻は完全にグロッキーで、命辛々辿り着いたウィンザーホテルの上階で蕎麦を賞味しつつ霞む湖を眺める他はない。
 残念ながら出向中には遭遇出来なかったものの、これで沖縄とともに迎賓館を除く国内開催地は網羅したことになるが、どう見ても宿泊客は酔狂な外国人ばかり、周囲には雄大な景色しかなくこの地にリゾート開発を試みた発想は今更ながら思い切りバブリーであったろうし、今やセコムされて仕舞うとは強者どものと嘆ぜざるを得ない。
 しかも給油のため再び山道を迂回しているとスタンドに到着した瞬間に今度は公資がぶちまけて蕎麦入りは広島風お好み焼きです、などとエスプリをきかせる余裕も無くなり、展望台やら景勝地も割愛して早々に道央道に回帰、福田総理に別れを告げたのであった。

 しかし距離的にはもう近い筈なのに矢鱈と所要時間標示が盛り沢山と思っていたら、驚くなかれ道央道は函館の遥か手前でぶつ切れ、それでも相当に延伸が進んで嘗て札幌からは北側小樽周りだったのが利便性を増したと聞けば、62902票の鈴木候補ならずとも登別から搬送した熊を走らせたくなる。
 おかげで「千の風」発祥の大沼にも出会したが一行は既に途中下車する気力も無く、一般道と自専道を飛ばして一路函館の人となった。
g327.jpg  まさに「遥々来た」函館で我々を待ち受けていた北島三郎記念館は裕次郎のそれとは対照的に労苦の末に上京するストーリーが描かれ、オーラスの一歩間違えば悪趣味としか言い様の無い「祭り」の大仕掛けも含めて楽しめた。
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(左)札幌、(右)函館
 朝方の札幌に次ぎここでも市電を見物し、丁度遭遇した文学館は子供逹が石川啄木について学び書面回答すればロハになる。生誕の地、盛岡以来の再来になるが北海道在住は一年、かつ当時は必ず基点となる函館でその大半を過ごしたのは当然の帰結であるにも拘わらず、丸で地元民であるかの持ち上げ振りは商魂逞しい。
 漸く温泉街にありつき、中浴場を転用した家族風呂は幾分興醒めだったものの、大量の修学旅行客と時間をずらして屋上露天にも浸かり、旅情緒満開になったその宿が「啄木亭」とは些か出来過ぎだったかも知れない。

7月29日(月) 道の向こうへ出掛けよう  -地域情報 - 北海道-

g312.jpg  幾ら南の島に赴いても観光との両立を企図してプライベート・ビーチがあっても日々赴く海を違える様な貧乏性だから、リゾート気分の薄い北紀行とあらば一瞬たりとも無駄にはしまいと目が血走るのは道理である。
 ただ流石に旭川と富良野を両立させようとは如何な倉本聡氏であっても北の大地のスケールを嘗めており、松木幹事長ならずとも辞任は免れまい。幸い痩せ過ぎた中嶋朋子氏にも太り過ぎの中島唱子氏にも関心は薄いので一路旭山動物園を目指すこととした。
g313.jpg  話題沸騰だった時分の2006年に視察として訪れているが雨の中、駆け足で退散した記印象しかなく、今般もその再来が危ぶまれたが、開園前に到着すれば途上の豪雨が嘘の様に晴れやかな酷暑が我々を迎えて呉れた。
 所謂「行動展示」は今では多くの動物園に採用されているから、丁度改めてスターウォーズを鑑賞しても二番煎じの如く錯覚を齋すように、旭山もまた既に著しい新奇性に欠けるのは事実である。
 それでももぐもぐタイムの喧騒を避けぺんぎん館にあざらし館と回廊を270度、或いは上下にと動物が行き来する定番の光景は旭山オリジンたるプレミアム性を勘案せずとも充分鑑賞に耐える造詣であろうし、観衆の声援に応えて積極的に回遊する北極熊の職責を弁えた姿勢も、飼育サイドのサービス業たる理解に基づくものであり好感が持てた。
g314.jpg  ただ改めて実感したのはこちらも旭山の象徴たる、正門から登れば東の高台方向に位置する一連の動物の遊び場の意義ではなかったか。例えば手長猿はその矯声が寧ろ煩い程ではあったが、本来の売りたる鉄塔渡りの芸以上に確実に観衆の着目を集め、食後の惰眠を貪っていたオランウータンも恰もそれに触発されたが如くに空中散歩には及ばずともパフォーマンスを開始する。一方で猿やチンパンジーはただ群れる絵柄が繰り広げられるのみでレッサーパンダの吊り橋往来も拝めなかったが、矢鱈と入り組んだ、70年代に描かれた未来絵図の如く構造物のキッチュさとも相俟って、常に全てのベストパフォーマンスとの対面は叶わずとも、容易にその具現性を想像し得るところが、幾多のエピゴーネンを招聘してなお旭山が珍重されリピーター獲得にも資する秘訣なのだろう。
g315.jpg  新たに遊園地跡地に麒麟、カバ館の増設が進められており、恐らくは嘗て倒産寸前の地方動物園に過ぎなかった時分の面影を残す北部に寂しく鎮座する麒麟も脚光を浴びる日が訪れるのだろう、経営磐石を確認して旭山を後にした。
 夏休みの宿題に「旭山ガイド」を選択し、写真を撮り捲っていた公資も満悦したのではないか。

g316.jpg  優雅に帰路に着くと思いきや転んでも只では起きないではないが、富良野には届かずとも美映までの南下なら足跡を残すことに全身全霊を懸ける父には持ってこいである。
 通り掛かったぜるぶの丘では何故かバギーで花畑をひと周り。丘に登って今ひとつ眺望の叶わなかったケンメリの木には改めて麓まで足を伸ばす。何となく懐かしさとともにCMの情景が甦るが当然後付けの記憶であり、高橋幸宏氏がドラムを叩いた「愛と風のように」の世代ではない。
 牧草ロールやマイルドセブンの丘の雄大な情景にも都心居住者が優越感の中に田舎暮らしに仮初めの憧憬を抱く「思い出ぽろぽろ」宜しき世界とは無縁極まりないが、YMO「Firecracker」が西洋から見た間違ったと東洋を具現化したという倒錯と同じ意味でのステレオタイプの北海道らしさを実見したのは有意義だったろう。
 夜は祐旭の所望した蟹に烏賊刺し、貝とまた食べ過ぎて眠りに就く。繁華街すすき野は健在であった。

7月28日(日) 札幌は少し雨だった  -地域情報 - 北海道-

g306.jpg  昨夜になって航空旅券の確認番号が判明せず、連日の4時起床も不安を抱えた出立となったが案ずるより産むが易し、無事早朝7時前には機上の人となり、予約ミスしたレンタカーも振り替え、我々は北の大地に降り立ったのだった。
 四年になった祐旭は夏期講習に邁進し、選挙の一段落したこの時期が休暇のピンポイントとなり、一昨年の沖縄に次ぐ国内旅行に落着したが、ここ十年程毎年の如く訪れている九州に対し、札幌ですら七年前に僅か一度の父にとっても幸便であったろう。
g307.jpg  早速その足で向かったのは大倉山のジャンプ台、3歳児の父が前傾姿勢を採りながらその名を連呼していた札幌五輪・笠谷選手に思いを馳せての訪問である。
 俄かに雨がパラ付き懸念されたが、子供達は併設されたウィンタースポーツ博物館でジャンプの踏切やら、スラロームやら、ボブスレーの体験に勤しみ、反復横跳びの親玉の如く計測機含め冒頭から好評である。早足で駆け抜けると旨い具合に晴れ間が覗き、晴れ男は私だったかと満悦にリフトに跨がった。上空は幾分曇り気味には他ならないが、急角度のジャンプ台と札幌の街並みを堪能する。野球フリークには遥かに臨むドームは元より、眼下に長年北海道野球の担い手であった円山球場の勇姿が聳えるのが嬉しい。観覧席からは身体を捻ってスタート地点を見上げなければならないが、半ば山岳を切り開いたのだから構造上やむを得ず、滑走とともに旋回すれば首の懲りなど取るに足らないのだろう。
g308.jpg  午後は初心者向き札幌モードで馬車を予約したが、肝心の出立地点が見付からない。大通駅自体が複数存在し、かつ広大な地下通路で連接されているのも雪の都の特色かも知れないが、先方の電話から微かに響く街宣車の演説頼りに辿り着いたのだから、矢張り北方領土は元より千島と南樺太の帰属も明瞭にせねばなるまい。
 ここで再び雨足訪れるも、幸い馬車には二階席にも屋根があり、函館競馬出身で辛くも薬殺馬肉の運命を逃れたらしい銀太君の引く幌馬車で市内観光へと向かう。日本三大ガッカリにエントリーされそうな時計台を経て、赤煉瓦の旧道庁本庁舎では一家が銀太君と戯れている間に歴代知事の肖像に御目見え、改めて町村金吾氏が御子息に酷似していることを発見し少しだけ永田町気分である。
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 しかしながら優雅なのはここまでで天候に鑑み羊ヶ丘のクラーク博士をパスするも、替わりに小樽へと急行するのだから大志は抱かれるものである。学生時代、国内会議の後、半ば傷心で訪れた小樽港で撮影した友人の写真をきっかけに「小樽の海風」なる楽曲の作、レコーディングに及んだのも大昔話に他ならない。その折り近く誕生すると聞いた石原裕次郎記念館に二十年振りに邁進したものの写真も撮れず、黒部の太陽の坑道を模したギミック以外はハワイの別荘の部屋が再現されたり、豪奢な外車をはじめノスタルジックな旧き良き成金趣味のコレクションばかりで食指は湧かなかった。
g311.jpg  運河と煉瓦倉庫を眺め、アイスクリームでひと休みする妻子を余所に、旧日銀支店に堺町通り商店街と嘗てわが国の北の玄関口であった栄華の縁を散見したが、流石に初日から飛ばし過ぎた様で札幌に引き返して草鞋を脱いだ。
 北の街は海のものと言いつつ穴子押し寿司を食べ過ぎていては世話ないが、フィットネス併設と言うよりは宿泊の方がおまけの如くホテルは大浴場だけが心の拠り所、慌ただしく初日は幕を閉じた。

7月27日(土) 雨ニハ負ケズ  -スポーツ - ゴルフ-

g305.jpg 幾らバブリーで美しいゴルフ場とはいえ、今更東金道転じて圏央道に改名した千葉の果て、一歩間違えれば銚子まで辿り着きそうな松尾横芝インターまで車を飛ばさなければならないとは難儀な土曜日である。
 長距離のため幾分早めの到着になったが、少し遅れれば事故渋滞に閉じ込められた模様で遅刻組もチラホラ、替わりにいきなり一組に繰り上げられスタートに及ぶ。
 勢い勇んだもののイン11番で結果的にニアピン獲得のパーと出だしこそ好調ながら、生命線のドライバーが引っ掛けOBあり、アプローチはトップばかり、パットも入らず、遂に17番バンカーで4打叩いてジ・エンドであった。
 ところがやむを得ず昼は飲み捲り、後半変わって何事にも無頓着なキャディー氏に所々怒りをぶちまけてのアウトは、優勝争いとも遥か御縁なく却って力が抜けたか、又もやのニアピン獲得含めショートは何れもパーと大波賞にもあと一歩。
 距離が無く数字が出易かっただけにここ数年の平均スコア程度では不満が残ったが、一組に繰り上がったおかげで昼前の豪雨は昼食中、かつ三組目以降は雷雨中断て小屋待機だったから、小一時間の待ち惚けに所在なく常日頃仕事柄烏の行水を余儀無くされる風呂をもう一度味わってみたりもしたものの、恐らくは誰かが晴れ男か晴れ女だったのだろう、メンバーに恵まれの常套句をここで使いたくなる幸運に恵まれたのだから文句は言えまい。
 既に異動から三年半、毎度出馬を試みながら昨年末は突然の解散で休みも消え失せ芝刈りどころで無くなったりと登壇には恵まれず、三年振りの出走とあらば流石に見慣れぬ顔も増え植木等状態だった。
 穏健な中間層に落ち着きオネストも文字通り正直に、目立たない巻引きが望ましかったのかも知れない。報道フレーズ的な夏休み最初の土曜の渋滞に巻き込まれながら、間一髪前方不如意になりそうな三度の豪雨を逃れたのだから、最後までスコアの替わりに晴天を戴いたのだと、無理を承知で得心させておこう。

7月24日(水) 男は黙って  -ビジネス - ビジネス-

 秘書たる役回り上、明らかに格上の人物に面会するのみならず、事務役として宴席の末席に連なることも少なくない。当然先方から見れば本来のカウンターパートはボスだが、何等か至急意志疎通を図りたい際にはこの事務方に一報すれば要は足せるとの認識は容易に構築されるから、事務連絡も回を重ねれば面識ありとカウントしても詐称には至らない程度の関係には至り得る。
 勿論だからと言って必要以上に印象付けようと接触の機会に過剰な自己アピールを図るのは却ってマイナスであり、発言の契機を与えられない限り無言の行、基本頷きマーチであっても相槌を打つにも空気を読まなければならないとは因果な商売に他ならない。
g304.jpg 今日も期せずして雨のなか待機する姿勢を誉められ調子に載ったか、今度はボスの話を聞いていないと上げては下ろされの緊張感には事欠かない宴席ではあったが、先方も長年秘書役を努めた先達に他ならない。考えてみれば当たり障り無い話題に終始して何等支障の無いところわざわざ一介の事務役に秘書業のあり方を教授して呉れたのも、少しは鍛えれば見込みもあろうかと幾ばくかでも眼鏡に叶う部分があったのだと、些か好意的に受け止め過ぎかも知れないが、掛け値なしで勉強になりました。
 口癖になった「すみません」を控えるべしと示唆されても「恐縮です」では故梨本レポーターの如しだし、ゴルフ練習場については到底話題にも出来なかったのだが。

7月22日(月) 睡魔とともに  -グルメ - こんなお店行きました-

g302.jpg  学生時代にはゲーム三國志に一夜を明かしたり、長じても一泊麻雀で二時間程度の睡眠で翌朝また牌を握ったり、出向中の徹夜明けのゴルフは流石にメロメロだったものの、従前から「不健康な体力」には相応の自負とともに周囲からも刮目されていたものだが、四十代も半ばになればからっきしである。
 確かに眠さのピークを一旦超えると気を張れば目が冴える要素も無きにしもあらずとはいえ、残務処理を終えひと息付いて時間が空くと強烈な睡魔に襲われる。
 結局14時には引き揚げ、平日にマッサージと洒落混んだが、枕を涙ならぬ涎で海の如く濡らして丸一時間の爆睡であった。

g303.jpg  どんなに短時間であっても熟睡すれば完徹とは雲泥の差とはよく聴くフレーズだが、実際揉まれ終わると腰や脹ら脛に留まらず脳内にもドーパミンが発生した様な幻影に囚われるものの、紛うことなく錯覚も甚だしきだろう。
 開票速報が始まった瞬間に、丁度六年前、往時は悲壮感ばかりが漂っていたろう安倍総理と乳母車上で握手していた公資は、勘違いなのか的を射過ぎたか、「お父さんが勝ったね」と喜色満面にしていた様だが、細やかな打ち上げとばかりにわが家にて再び「KiRaKu」へと赴く。
 幸い店頭には見受けられなかった大浅蜊にも今度はありつき、当然の様に見栄えと分量こそは確かに遺伝子操作で巨大化した浅蜊の如くであっても、明らかに蛤とは味覚において数段異なるてあろう、その仮説を自ら検証して健やかな眠りに就いた。

7月21日(日) ねじれにさよなら  -政治・経済 - 2013参議院選挙-

g301.jpg  野次馬根性で言えば20時の時報を迎える瞬間まで白黒の読めない開票速報こそが視聴率的には期待されようが、期日前投票比率の増加とその出口調査の精度向上により回を重ねる毎にハプニング性は薄れ、魅惑的なコンテンツたり得なくなりつつある。取り分け終始与党の圧倒的優位ばかりの伝えられた今般は、半ばインナーでない限り、速報に釘付けになる高いニュース・バリューは持ち得なかったろう。
 しかも冒頭からの当確ラッシュが過ぎ去れば残るは接戦の予想される重点区ばかりで、僅かに複数区における野党の配分に幾分の意外感が漂うものの大勢には影響薄く、余りに予測通りで退屈なこと夥しい。
 詰まるところ投票行動に複雑な要素は少なく、組織に委ねられない、一時は民主に集積された票が雪崩を打って離反し、与野党問わず分散したのは先の衆院選同様だが、選挙区が大きい分基礎票を糾合出来る共産が浮上し、維新・みんなは選挙協力を行えば計算上獲得出来た都市部の五議席を失い、より敗北感が明瞭になったに過ぎない。 民放こそ各党幹部や評論家の出演で手を変え品を替え番組を繋いでいるが、延々と開票を繰り返すNHKでは、既に当確の打たれた候補者の票数の伸びを追っても陣営の一員でも無ければ関心の欠片も感じられない。
g295.jpg  ただ永田町周辺居住者としては、勝敗が定まればこと足れりに至らないのは、パイが大き過ぎる為に事前出口が殆ど機能しない全国比例の帰趨が待ち受けたているからであり、自民で言えば固有の組織を抱える14候補には早々に薔薇の花が飾られ、ドント式の当選数にも目鼻が付き、テレ朝が全英オープンに切り替わってなお安穏と松山選手の奮闘を眺めてはいられない。
 加えて知名度頼みの候補者は開票の遅い都市部の開きに連れ捲って来るから、特定地元票を基盤とする衆院からの転向組が圏内に付けていても予断を許さない。
 おかげで単身自席に張り付いたまま朝7時のニュースが最後の当落を打つまで夜なべせざるを得なかった。
 本来の大目標たるねじれ解消が恰も所与の与件の如く遥か後方に押しやられ、単独過半数に迫る大勝にも比例の伸び悩みで一抹の爽快さに欠けた政権政党に比べ、8議席で躍進と賛美される共産党が幸せか否かは兎に角、暑い夏は漸く幕を閉じたのであった。

7月20日(土) 呼んでいるあの声は  -テレビ・ラジオ - 特撮ヒーロー-

g296.jpg  サンダーバードの本邦初放映は66年であるから私は当然リアルタイムの世代ではない。しかしながら第三次ウルトラへの導火線となった70年代末の早朝再放送枠に、恐らくは等しく特撮という括りからだろうか、円谷やピープロのそれと並んでラインアップされていたことから強い印象を残している。
g297.jpg  だから今般のサンダーバード展にわが子を率いて訪れたのも純然たる父主導であったが、特撮博擬きの一部演出には好感が持てたし、子供向け仕様ながら消化作業に従事しているといきなり2号が浮上してくるアトラクション(左写真)も据えられてはいたものの、表題たる「サンダーバードの描く未来」としてはエネルギー問題はじめ矢鱈と現実的なパネル展示ばかりに終始しており、操り人形でありながら口の動きはコンピューター制御という空前にして絶後たるサンダーバードの造詣そのものがあり得べき未来の示唆であっただけに、もう少し大伴昌司的な、一見科学的に映る過剰な想像力を働かせて欲しかった。
 ただ会場そのものが日本科学未来館であるから「科学」を逸脱した振る舞いには及び難かったのかも知れない。子供達にとっては既にスポーツジムの課外教科で訪れた常設展示に再見し、二進法への変換というデジタルの構造をアナログ的に見せる物理モデルや、自転車に股がった村田製作所の小型バランス維持ロボットの方が余程興味深かったろう。
g298.jpg  地球の外周を月の如くに回遊する形で上階へと登り、宇宙と並んで過大なスペースを有する医療分野にわが国産業のもうひとつの未来を窺わせ、更に深海のしんかい6500(写真)も拝察して現在に回帰した。
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 しかしながらこれで一件落着たらないのが本日の味噌で、遅めの昼にと神保町に急行する。敢えて展示に足を運んだのは過日久々に書店街を訪れ、ここサンダーバードカフェを発見した邂逅に触発されたと言っても過言ではない。
 要は仮面ダイナーの二番煎じ、等しくハワイ料理なのは経営も同じくカラオケのパセラだからだが、島は島でも南洋の孤島とは些かイメージが異なろう。
 ライダーよりは幾分飾り物も少な目だが、一号以下形取った食材の盛り付け造形はそれなりのイメージ喚起には寄与しそうではある。
 災害救助を主眼としながら組織悪とも戦う、然ながらわが自衛隊PKO活動の先駆の如きながら家族経営の牧歌さを併せ持つ秘密組織、個人的にはペネロープ号、更に言えばその主よりも運転のパーカー氏の風貌が印象的だが、流石にそんな氏をそのまま体現したメニューはありませんでした。

7月18日(木) 注文の少ない選挙戦  -政治・経済 - 2013参議院選挙-

g292.jpg  選挙戦も終盤を迎えると大政党は重点地区が絞られて来る。通常なら挽回不能な選挙区は棄て、僅差の幾つかに幹部を集中投入したり団体に梃子入れすることになるが、今般の如く概ねの帰趨が明瞭だと必然的に重点区も絞られ、当該地域は物量作戦の嵐、公示日とは別の意味で永田町が引越して来た様な賑わいを呈する。
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水沢江刺駅にて(12年10月)
 既に述べた様に物理的な支援、激励訪問は既定路線であるが、団体や各種組織も当然重点区に集中することになるから、遠征先において旧知の要人と邂逅するケースも少なからず生ずる。と言うよりは旅先での鉢合わせが永田町におけるそれよりも一層親密度を高める効用を計算して、敢えて要人を追い掛けて「偶然を装い」帰り道ならぬ到来を待ち伏せするのも常套手段と言えよう。

 新幹線の駅までの帰路、猛烈な既視感に襲われたが、それはデジャブではなく事実10ヶ月振りのイーハトーヴであった。そう言えば先刻の演説にもその名を伺った気のする椎名元副総裁は水沢江刺駅に銅像の立つ後藤新平氏の宴席だったかなどと記憶が甦って来る。
 駅に到着すると、スターの如く握手攻めに合っていた筈の要人は我々を飛び越え既に駅舎の中だった。
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