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コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

5月3日(祝) 嵐を呼ぶ男  -アニメ・コミック - アニメ-

f137.jpg クレヨンしんちゃんと言えば従前は子供の言葉遣いの悪化や下品な下ネタの連発等でワースト番組の代名詞の如く扱われていた。
 しかしながら皮肉とエスプリに満ちた原作と一線を画してマイルドに変貌を遂げることで国民的アニメの地位を獲得したちびまる子ちゃん同様に、しんちゃんの歴史もまた徐々に先鋭性を失いホームドラマの要素を強めて市民権を得る過程だったと言える。
 その人気は昨年の作者の不慮の死を経てなお衰えを知らないが、一方で既に19作を数える映画版は従来からクオリティの高さに定評があった。実際わが子らも録画した前作「超時空!嵐を呼ぶオラの花嫁」を飽きもせず再三見返しているが、確かに笑いとともにペーソスに溢れ、大団円を迎えるカタルシスは、直球勝負であり触れた反権色すら垣間見えるドラえもん映画を比較対象とするのがおこがましくなる程に、大人の試聴にも充分耐え得る内容となっている。
 今作「嵐を呼ぶ黄金のスパイ大作戦」も全編をスラップスティックと人情譚として成立させる中でデティールに笑いを散りばめる構造はまさに喜劇の王道であり、所々に巧みに親世代を意識したパロディも織り込まれていて飽きさせない。同時に尻や屁といった漫画やTVシリーズから「しんちゃん」の世界に通底するギャグの基本要素をスパイ・アクションたる本編の設定に巧みに当て嵌める辺りは、長編映画に相応しい職人技的な造りと言えよう。
 親子の情愛を親の側から描いた下りも豊富で、不覚にも落涙して仕舞った。旧作も改めて見返して仕舞いそう。

f2.jpg そのままとしまえんに流れたが、黄金週間は至るところ過剰に混雑するという定理を再認識するに過ぎなかった。
 探偵とハードボイルドをモチーフにした前作仮面ライダーWは電王以来ほぼ最終回まで見続けた作品となったが、現在のオーズは必ずしも笑いに徹し切るでもない主人公のキャラクター設定の曖昧さからも、早々に見切りを付けて仕舞った。
 それでもメダルという小物が功を奏するとともに、動物に始まり恐竜まで登場した変化の多様性が子供心にはヒットした様で、公資が毎週の様に新たなコンボの解説をして呉れるので、概ねの展開は把握出来ている。
f2.jpgそこで数え切れない程に訪れた中で中央広場を通り掛かって演目を嘗めた経験はあっても、初めて着席して通しで見たのが今般のオーズ・ショーと相成った。
 しかしながらストーリー性云々以前に大半が怪人による客弄りで肝心のオーズは申し訳程度に戦っただけ。考えてみれば平場に雛壇を据えただけでも東京ドームの如き演出は望むべくはなくとも、読売ランド並みに趣向を凝らすのは可能な筈で、即ちとしまえんの客層自体が立ち回りよりもヒーローとの触れ合いに重きを置くべく、遊園地の中でも低年齢層に限られている証左だろう。
 それでも公資は体を奮わせて応援に蛮声を張り上げていたが、流れ作業の握手会を経て早々に退散した。そろそろとしまえんも卒業か。