コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

3月31日(金) ペースメーク  -日記 - 今日の出来事-

c663.jpg このところ多忙である。朝は早くとも日中はフラフラと出掛けて人に会っているか、篭ってモノを打ってるかは別として時間のコントロールが効き、夜は早々に帰るか仕事で飲みに行くかというメリハリのある生活が十数年に亘り続いていたが、この数日頓に居所を固定させ、あるともないとも判らぬ下命を待つ役所の如きスタイルである。今日は左足裏に重みを感じるので愈々体に偏重を来した証拠だろうかと凝視すると、左右の靴の風体が一致していない様である。底厚の異なる靴が如何に腰に負担を与えるかは身に染みたが、左様にチグハグな日々の中、従来通り人に接し、夜はある時は1時2時迄飲み飽かす毎日を両立させるのは難行に他ならない。この一週間で大分とペース配分を会得したので当面は走り続けることになろうが。

 息子と数日振りに会って風呂に入ろうと問うと「どうしようかなぁ~」と首を傾げている。飯を食うと「食べてよ」「美味しい?」「良かったね~」 と一端の人物の素振りである。ウルトラマン主題歌のみすず少年少女合唱団の声が幼い別ヴァージョンを掛けると「ちょと違うね~」、カラオケなら「歌ないね~」と特撮フリーク振りも発揮している。またある時はふいにニタァと笑みを浮かべ「おとうさんちんちん出てる」と嬉しそう。寝巻きから父の一物が覗いていること自体は問題視されようが、語彙は着実に増えている様である。

3月29日(水) さらば歌謡曲  -音楽 - 歌謡曲-

 2月末でTSUTAYAが閉鎖され一月、弊害は着実に忍び寄ってきた。新宿TSUTAYAに寄り道するならば余裕を持って7泊8日で借りざるを得ないし、北口のレンタル店に足を運べば今度は夜が続いて日中に返せず結局延滞料金を支払う羽目に陥る。何よりも1000円内外のCDシングルでは下手をすると購入するのと大差なくなるから、必然的に借り入れ意欲が著しく阻害されて仕舞うのだ。
 既に幾度か述べた通り、私は長年に亘り歌謡ヒット曲集を自製してきたが、単に当該年度のヒット曲であれば昨今はコンピレーションCDも多数発売されているのでそれを借りれば手間は掛からない。わざわざ一枚一枚借りてくるのは単に売れ筋のみでなく、嗜好に合致したたものを集積することに大義があった。しかし情報収集源であったカウントダウンTVからも離れ、ここ数年は単にレンタルCD店の店先で目に付いたモノを借り入れ、一聴して著しく不快感を覚えなければダビングするという作業を惰性で繰り返していたの過ぎなかったところ、今般近隣のレンタル店は消滅したことで遂にその手段を絶たれ、私の音楽評論家(専攻:歌謡曲)としての生命は平成17年を以て事実上潰えたのである。
 或いは既にamazon等の通信販売業では顧客の過去の購入・閲覧実績から推奨商品を提示するシステムが形成されているがこれを更に進め、例えば「初期YMOがお好きならば最近発売された○○は如何ですか」と専門のアドバイザーがプランを呈示する、言わば"嗜好プランナー"業は新ビジネスとして成立し得るだろうか。サービス業の拡大がわが国の新しい成長戦略に不可欠とされる昨今、ビジネスモデル探索中の方には是非ご検討願いたい。当面はは歌謡番組も偶には見て現代の潮流に大きな遅れを取らぬよう耳を鍛え、過去の蓄積に縋って細々と評論家業を継続することになろう。

3月25日(土) 海の見える家  -音楽 - 邦楽新譜-

c662.jpg 茅ヶ崎の友人宅に赴く。海岸まで徒歩5分内外で辺りはサーフショップが立ち並ぶという驚異的な立地で海風を浴びながら御飯を美味しゅう頂戴し、何故か隣に座られた学生の方に日本看護協会の認定看護師制度について質問していた。
 ところが又もや飲み過ぎ湘南新宿ラインに飛び乗った迄は良かったが、目覚めると全く知らない地名が眼前に焼き付く。混濁した意識では理解不能だったが「北鴻巣」というのは程なく熊谷に地名で、実に2時間近く眠りこけていたらしい。こんなことなら大人しく東海道線を選択して自動的に東京駅で下ろされた方が安全だったが、かつて中央線で起きたら八王子というケースもあったから所詮目糞鼻糞の世界かも知れない。長い路線には気を付けよう。

 高橋幸宏氏のアルバムは小学校の頃から殆ど貸しレコード店で済ませていたが、恐らく新譜として購入するのは初めてとなろう、「Blue Moon Blue」を高い前評判の下に購入して仕舞った。氏のソロはYMOの「Solid State Survivor」に対応して「音楽殺人」、「BGM」に「neuromantic」という様に時々の参加バンドのアルバムに多分に影響されるというのはよく指摘されているところだが、今回も予想以上にSketch Show後期のミニマル路線そのもので、当初は氏のソロとして製作が始められたSketch Showのファーストのテクノ、ポップ色は余り見受けられなかった。一言で言えば艶がない、残念。

3月23日(木) アンフェアなのは誰か  -テレビ・ラジオ - ドラマ-

c660.jpg ドラマ「アンフェア」の最終回を見る。毎回誰かが亡くなり犯人と思しき人物が次々に交替する連続ドラマらしい展開で、何度か見逃しているので余計に話が見えない部分が多かった。そこで補足のために最終回の少し後に読み終えるべくと原作を購入してみたが二転三転の割には少々薄いのではないか。TV版の前半は「推理小説」というタイトルの小説に沿った形で殺人事件が続くというストーリーだったにも拘らず、子供の誘拐事件を挟んで後半は別の連続殺人に主題が移っていた。これは怪しいと登場人物一覧を見ると案の定前半部分の関係者しか載っていない。原作を劇中劇にしか使わなかった「Wの悲劇」程ではないが、小説をベースに脚本家が独自のストーリーを作成したということらしい。
 勿論、主人公の女性刑事と真犯人に男女の情感が生まれ、しかしながら女性刑事に愛する自らを撃たせることで犯人の主人公への復讐は完結するという主題は最終回でも流用されてはいたし、真犯人が明らかになる展開が多分に2時間ドラマの様な唐突感無きにしもあらずではあったが、端的に言えば面白いドラマだった。しかしながら小説は詰まらないとは言わないが、映像を先に見なければ判りにくい程に描写が少なく寧ろノベライズ版の如くであり、何よりも前半4回分程度にしか当たらない本作を「原作」とするのは無理がある。小説の続編も企画されているとのことだが、そこにドラマ後半部分のエッセンスが活かされているのではないかと期待を持たせるのは、それこそ"アンフェア"なのではないか。

3月21日(祝) 魔の61  -スポーツ - ゴルフ-

c658.jpg 昨夜から降る雪に眼下には白化粧が広っている。ここは塩原温泉郷、朝6時。睡眠不足と若干の嘔吐感の中に昨夜の喧騒が蘇る。18時に打ち合わせを切り上げて新幹線に飛び乗り、20時半から同僚と仕事の相手先の方々と始まった宴会は宿に引き上げてなお一層日本酒投入量を増し、何を契機に始まったのか記憶も定かではないが枕投げに布団蒸しと今時分中学生でもかくありえぬ程の品行方正な狂乱の中に幕を閉じた。膝の辺りに擦過傷があるのは写真に残されている組立体操を確かに行っていた証左か、或いは泥酔して露天風呂に赴いた際にすっ転んだのか。いずれにしろこの天気では今日はクローズドだろう、と予測しながらゴルフ場に問い合わせるとあにはからんや雪のかけらもないという。夜道で把握していなかったが随分と山を登ってきたということか。改めて気合いを入れ軽くスウィングしてみる。

c659.jpg ホウライカントリークラブはわが国バブル経済が継続し首都移転が実現したならば議事堂や議員会館が聳えていたやも知れぬ広大な牧場の中に位置し、ラフに入るとボールが消えそうな英国リンクス風の美しい林間の風情と大量の池・バンカーを巧みに配しドッグレッグも多数の戦略性の高さで、雑誌の投票では常にベストテンを下らない人気のゴルフ場である。
 イン・スタートだったためいきなり広大な池、続く10番はグリーンが浮島先生と折角新ドライバーは無事当たっているのに第2打以降が続け様に水に吸い込まれ前半は61と撃沈した。しかし果たしてこれを撃沈と呼べるのだろうか。今年4回目のラウンドになるが名門・祁答院も埼玉は河川敷でも丘陵でも、 話題作りも兼ねてパーフェクト・クラブを導入しても再び抜いても、体調万全でも寝不足でも前半は判で押した様にぴったり61ということは、昨年11月の百切り以来スコアへの執着心が薄れているとも言えようが、詰まりは99がフロックで120内外が実力ではないのかと煩悶する。
 ところが宿酔いにも拘らず昼に生麦酒を入れたのが適度に力が抜けて功を奏したか、後半は2番でツーオン、3番ショートでパーに続き、「グリーン左に迫る池が第三打を厳しく制約している」と解説された5番はその第三打残り約160ヤード、グリーン右の土手に向けてとのベテラン・キャディー氏の教えの通りに球は舞い、傾斜に沿って右からピンに寄っていく。バーディーパットこそ外したが久々にゴルフの醍醐味を味わえた。流石に終盤疲れが出て50切りは逃したが、恥ずかしながら百切り時以来の50代前半はコースの難易度に鑑みれば上出来だろう。痛飲、温泉、美しいコースでスコアも復調と素晴らしい旅であった。設営戴いた皆様に感謝申し上げたい。

 丁度ラウンドが終わる頃、WBC世界一が決まった。日本が勝ったのも勿論喜ばしいが何よりも「世界の王」が文字通り「世界の王」になったのが喩えようもなく嬉しい。おめでとうございます。

3月20日(月) 電子申請道遠し  -政治・経済 - 時事-

c656.jpg 10年振りにパスポートを更新することとなった。日中経済協会訪中団に同行し北京・蘭州・敦厚・西安を歴訪するが決まり大学時代以来の旅券を取り直したのが96年の秋で、黄金週間には間に合う筈だったのだが、今春来訪予定国が残存6ヶ月を必要とすることに気付き慌て必要書類は何かと探索する羽目に陥った。
 そこで「住民基本台帳ネットワークシステムに参加していない杉並区及び国立市に住民登録している方は、住民票が必要です」との一文に仰天する。丸で旅先で野球中継を見て「一部の地域の方とはお別れです」というアナウンサーの説明を聞き流していたら、いきなり番組が終わって仕舞った時のやり場のない怒りも似た感情が想起される。革新・杉並は確かに住基ネットに参加しなかったが選択適用を試みた筈で登録を忘れていた自らの失策かと焦ったが、横浜市は制度施行前に選択制導入に踏み切ったので了解されたが杉並は後から選択制も手を上げたので認められなかったといういきさつらしい。その顛末に国政の意思が表れている感もあるが、国民負担の一元徴収によるコスト削減や公平性確保のための所得補足率の向上に資するにも何等かの国民IDナンバーの導入が避けられないという前提のなか住基ネットへの参加を拒み続けるのであれば個人情報保護上の問題点を指摘し改善に向け導くべきだし、そうでなければ手を拱いて徒らに住民の負担を増加させているのは自治体の怠慢である。土曜日も開いている荻窪事務所でものの数分かつパスポート取得用には無料で住民票の交付は出来たが、山田区長にはよくよく比較考量を再考願いたい。
 とここまで書いて勢い勇んで交通会館に赴いたら行列が階下まで続き実に3時間待ちだという。わが国景気は紛れもなく上向きで海外旅行者が激増しているのかと思いきやIC化申請が本日から始まった為の特殊要因の由、果たして旅券取得はいつの日になるのか。時間は迫る、気は焦る。

3月19日(日) ビンテージとは何か  -政治・経済 - 電気用品安全法について-

c651.jpg 電器用品安全法(PSE法)問題は今週山場を迎えたが、電気用品の安全という社会的規制に対しリサイクル業者の経済問題として生じた衝突を、電器楽器等の古美術品を守るための文化・芸術という正反対の領域に主戦場をすり替え、この部分を譲歩することで社会的影響力の大きい音楽家集団の声を封じるというのは巧い対症療法だった。シンセイサイザープログラマー協会会長という謎のポジションに収まっている元"第4のYMO"松武秀樹氏が何処迄その駆け引きを読み切れていたのか、単に義憤と自覚される感情から反対運動に邁進していたのだとすれば甚だ不安ではあるが。
c655.jpg ところが昨日俄かに高円寺に現れた警官隊の群れに何事かと目を見張ると、パトカーに先導され御輿の如く現れたのは反PSEのデモ隊であった。主宰者と思しき人物が「貧乏人は死ねということか」とアナクロチックな左傾アジテートにより経済面の指摘を掲げてはいたものの、音楽家らしき人々が音楽家の街・高円寺を練り歩くというコンセプトを描いた時点で、既に芸術・文化を例外とするという経済産業省の文脈に沿っており、かつそもそも如何に当事者が真摯であろうともこの種の前時代的な対応が生じる際には総じて当該案件は収束に向かう過程に入っていることを示している。このまま緩やかに口端から消え失せていくか。

3月18日(土)  合体変身  -育児 - おもちゃ-

c653.jpg トミカ・プラレールのトミーとリカちゃんのタカラの合併に伴う「タカラトミー展」を鑑賞する。先週訪れた箱根のおもちゃ博物館に大きくポスターが展示されていたので急遽赴いてみたのだが、リカちゃんと黒ひげ人形が並ぶ幾分滑稽で若干不気味な会見風景が新聞も賑やしていたのを覚えておられる向きもあろう。要はトミーによるタカラの吸収合併で真に"リカちゃん危機一髪"だったのだ。しかし会場が渋谷のパルコという時点で一抹の不安はあったが、訪れると展示は目線の高さからしても玩具フリークか業界関係者向きにも拘わらず実際には家族連れが大半でコンセプトの曖昧さが目に付いた。とくに一切の写真撮影を禁じているのは乳幼児の訪問施設としては致命的で責めて実車チョロQだけでも解禁すべきだったろう。そもそも日本初のスーパーカー"童夢"のトミカが限定賞品として客寄せになっている時点で対象層は推して知るべしなのかも知れないが。

c654.jpg これでは祐旭も消化不良だったろうから足を伸ばして東京都児童会館に赴く。竣工から40幾余年の建物は流石に古色蒼然として渋谷の町中とは思えない。改修を重ねたためか構造が複雑でやけに休憩・飲食スペースが多いのはここで昼食を採る利用者が多いからだろうか。渋谷青山間という土地柄からもベビーシッターがハイソな子供を抱えて訪れる様なこどもの城のと比べれば老朽化は否めないが、無償であり都児童館の親玉として表現の巧拙は別として庶民的な香りも高いが利便性は大きかろう。戦前は梨本宮家の邸宅で坂を下りると宮下公園に出るがこの地名は宮家に基づいている。次回は代々木練兵場跡の一部であるNHKスタジオパークと併せて来訪してもよいのではないか。

3月17日(金) 自問自答  -日記 - 今日の出来事-

 右から左に物事を繋ぐ"調整"の作業は嫌いではない。と言うより寧ろ私の会社生活は、時にはシジフォスに堕してはいまいかと疑う暇もない程に、それに明け暮れていた。だから希にモノを考えまとめる作業が生じると愉快で、たとえ何のバックグラウンドも持たない分野であってもゼロから作り上げるのは快適に脳を刺激する知的労働であった。
c652.jpg しかし現在のお題は既に豊かな知識を有するメンバーが存在し、自らの得意でない経済面のお勉強と割り切る時間的余裕も無くなり、航路の見えないままに周回遅れで走り続けるマラソンの如くに不透明で、一方で既存の職責にも賦課を下げながら片足を突っ込んでいるので、非常に中途半端な状態のままストレスが溜っていく。或いはこの新たなポジションで臨んだお題に終着点が見えた時、新しい知恵を会得したことになるのだろうか。

 亜細亜予選ではCMに矢鱈と場末感の強いものが多く、王のポーズが顎を引き過ぎではないかが気に掛かるばかりのメインスポンサー、アサヒビールの広告が目立ったWBCの中継だったが、二次予選に入り会社の同僚と真っ昼間に若干の罪悪感を持ちながら垣間見る野球もいいものではないかと、嘗てデーゲームばかりだった頃の日本シリーズを思い出した。二度の誤審を犯した審判が意図的であったとは思わないが、結果として米国には恥の上塗りになり、もしかしたらWBCそのものが事実上1度限りで雲散霧消して仕舞うかも知れない。しかしながら1勝2敗の上、失点率という投手力主導の不可解なルール設定に助けられての予選通過を誰が予想しただろうか。この紛れもない「幸運」を是非この先の戦いに活かしてほしい。

3月15日(水) 予定納税はお早めに  -政治・経済 - 税金・確定申告-

c657.jpg  毎年お馴染みの確定申告締切日。諸事情から確定申告を行う年が多いが、例年似た様な作業の繰り返しなので機械的に作成し期限直前に送付して完了、と特段の煩雑さはない。勿論大部分が源泉徴収で処理されているが故の安楽ではあるが、数値で眼前に現れるので政策減税の有り難みを実感したり、配偶者特別課税がなくなって女性の労働市場への追い込み策に恐怖感を覚えたりとサラリーマン税体系の把握には一役買っているだろう。一般論として租税は簡素が望ましいとされるが、所得税ならば各種控除の存在が一方では脱法行為を奨励する弊害も生じるとはいえ、同時に意図的に政策誘導する経済運営の方向性を広く万人に理解させる効果に本来はもっと着目されても良かろう。
 勿論今更六十有余年続いた源泉徴収を廃棄することは非現実的だしそうすべきでもない。しかしながら電子技術の発達を前提に、例えば源泉徴収に加え確定申告する者は電子なり早期なりの申請には恩典を、同時に申告ミスには故意過失を問わず一定徴課することで過度の徴税負担を帰することなく、国民の納税感覚を養うことが出来れば、税を通じた政策誘導にも敏感になるとともにより望ましい国民負担のレベルについても相場観が醸成されてゆくのではないか。
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