コラム堀内一三

~粥川善洋の四方山コラム~

5月13日(日) 雨ニハ負ケタ  -スポーツ - ゴルフ-

h916.jpg  前回優勝幹事としてゲストの御仁をお迎えに伺う途上、体調不良にてダウンの一報が入る。確かに雨予報に前途が危ぶまれはしたものの、経路が割愛されたが為に期せずして斥候部隊として先行して現地に向かうこととなったが、続々と脱落のメールが届くではないか。
  ここは撤収も已む無しと思いきや三芳PAに退避すると存外に小振りになっている。そこで未だ行軍を続ける三人にリエゾンして身柄を確保、ひと組に縮小して強行するに至った。
 この時点で上空には明るさが確認され、予報上も昼には曇天とあったので楽観視していたのだが、いざスタートすると益々激しく豪雨の域に達し、空には一層明るさが欠けていく。途上弱まるきらいも垣間見えはしたものの結局最後まで雨脚衰えず、霧も現れ文字通り五里霧中の中、八甲田の倉田大尉宜しく命辛々生還したのであった。
 昼のバイキングがアルコールも飲み放題とは豪奢と思いきや、オーダーの人件費すら削減するのが本意であり、到着時フロントも無人で自らロッカーカードを掴み、上がってクラブも手づから拭いて運ぶという徹底した省人化は、今後のゴルフ場のひとつの生き方を示すものかも知れないが、些か興醒めの北武蔵であった。
h915.jpg  肝心の
新兵器56度ウェッジが上がれば短く時にはトップと芳しからず、後半三階建てになったニアピンをここ一番で獲得し、ロングパットが吸い込まれる幸運にも恵まれて五輪こそ大勝したものの、雨の日は大人しくというのが教訓か。

 昨夜は久々にかのGi!nZ公演を拝聴したが、デモクラシー第三幕だからか、或いは紛糾する国会情勢を反映してなのか、従来以上に主役のひとり舞台色が強かった。
 自身「ピアノも弾けるんだぞ」と言及されている様に、本業はギタリストとの認識でありだからこそカシオペアなのだろう。フュージョンまで至ると些かユニットとしての方向性とは異なる感があるが、ポール・マッカートニー&ウイングス宜しく、器用過ぎるのも悩ましいというところか。

5月10日(水) あさひが丘の  -政治・経済 - 国際政治-

h913.jpg  「なせばなる、ナセルはアラブの大統領」は1960年代には有名なフレーズだったが、ぼく大統領と聞いて「ぼく、ドラえもん」を連想するのは、暗殺と現在までのブームに至る二度目のTV放映開始が同じ79年なので、後付けの知恵でしかない。
 元より日韓両国は84年に相手国の現地読みに統一しているので、ぜん・とかん氏はチョン・ドファン氏になったが、ノ・テウ氏は遂ぞ、ろ・たいぐ氏と呼ばれたことは無い。
 大統領としてはキム・デジュンだった金大中氏がきん・だいちゅうの方が通りがよいのは、拉致当時は自国読みだったからである。
 従って実父はぼく大統領であっても、今回退陣されたのはパク大統領である。

h914.jpg  閑話休題。
 パク大統領は陸士卒の父の日本との浅からぬ関係性から逆に反日の姿勢を示さざるを得なかったとされるが、この度当選された文新大統領は端から対北朝鮮融和論者らしい。
 この文脈からもほぼ同タイミングで行われた仏大統領選とともに、世界共通の民族主義的な保守路線に歯止め、とひと括りにする向きもあるが、寧ろ着目すべきは「政権交替」には違いないものの、交替先が旧来からの政党組織に基づく候補者ではなかったという点ではないか。
 両国とも大統領制とともに議会選挙は小選挙区制であるから長らく二大政党、二回投票の仏ならば左右二つずつの四大政党であったのが、明らかに崩れつつある。
 勿論、スキャンダルが契機だった韓国は今後も政党の離合集散が予想されるし、保守党の突出から再び二大政党に回帰した英国の例もある。何よりも中選挙区か比例の日伊にしか成立し得ないとされた基盤政党型が小選挙区下のわが国において再現されているのだから、少なくとも保守と革新乃至はリベラルという構図自体に揺らぎが生じつつあるとは言えるのかも知れない。
 世代交替、に付いては替わりに奥様が二回り上だからではなく、現時点ではまだ一過性の事例に過ぎないか。

5月9日(火) ドームに散ったひとつの星  -スポーツ - プロ野球-

h918.jpg  「あじさい橋」の大叔父のフレーズも今や通用しなかろう、エースのジョーの名を聞いたのは半世紀を越えて四連続完封に挑む菅野投手の、今年もまた驚異的なピッチングの賜物である。
 本年の初ドームが見事この好カードに合致したのは強運に違いないものの、打たれることがニュースになるのは立派とはいえ、いきなり初回の失点で夢破れ、如何とも緊迫感を欠く展開だったのは残念極まりない。
 それにしてもクリーンナップ以外は全く打てない巨人打線は打率1割台の長野選手が象徴しているが、反撃の本塁打も日ハムから貰った石川選手とは育成の巨人も遠くなりにけりと嘆くべきか、或いは立岡外野手ともども埋もれた逸材の「発掘の巨人」に転向したのか。
 最終回、三割を遥かに超える代打率を誇る亀井選手の二塁打で訪れた僅かな魅せ場に、退屈そうなベンチ映像だけが存在感を斎していた村田選手が漸く顔を見せるものの、呆気なくジ・エンドであった。
 元大洋の五十嵐投手を継ぐ髭魔神と言うよりは、揃いも揃ってドレッドヘアの三つ編み魔神三兄弟、阪神自慢のドミニカン・リリーフ三人衆のうち二人を見物出来たのが救いか。誰が誰だかは判然としなかったが。

h917.jpg  待機モードだった黄金週間終盤戦は久々にビデオ編集に挑んでみたが、編集ソフトを立ち上げ動画を貼り付けると忽ち強制終了し、現行panasonic機の導入の際に試み、同じ現象に萎えて以来編集をサボっていた経緯が脳裡に甦る。
 ならばとpana機付属の管理ソフトはと言えば、水中やビデオを持ち歩かない時にカメラで撮ったavchd以外のファイルを認識しない。
 ところが悪戦苦闘、mp4やら変換してなお読めず投げ出しそうになったが、フリーソフトを落としてみたら案ずるよりでサクサク進み、技術の日進月歩以上に汎用化が薄利多売を斎すであろう厳しさにも直面させられた。
 嘗てはビデオ専用機でも停止する瞬間、無意識に本体を押し下げて仕舞うのだろう、映像にブレが生ずる為その部分を須く削除する地道かつ膨大な作業を擁していたが、手振れ防止機能も進化している模様でその手間も省けるではないか。
 こうして約90分のケアンズ行2016が完成した。既に充分食傷気味で改めて鑑賞しようという気には仲々ないから、自己満足に過ぎないと言えばそれ迄なのだが。

5月5日(祝) 鯉もコースも短めで  -育児 - パパ育児日記。-

h909.jpg  前半戦の喧騒から打って変わっての静かな五連休の中日は、多摩のそうぶファミリーコース。本コースに併設でベントと高麗の2グリーン、レディース・ティまで設けられている本格仕様である。
 スタート前の待機中、巨大なバンカーに挑む練習場では身体が伸びて仕舞うのか、空振り続きで沈んだ祐旭も進むに連れ何とか回復に至る。ホール間の移動がアップダウン激しく残念ながらカートは満杯で良い運動になったが、その分適度に間隔が空いて過去二回の様に焦り打ち急ぐことも無く、所々にマリガン打ち直しの余裕も綽々で暑さの中にも快適であった。妻の方向性が著しく向上していたのは卓球の余波かも知れない。
h910.jpg  昼休憩ありでもこれまでの18ホールは流石に豊満な公資のみならず負担だったから、二回りでパー72に挑む無理はせず12ホールで満了、昼の独楽寿司まで丁度良い行楽だったのではないか。
 月三ラウンドの高い目標値をショートコースを含めてクリアしてきたが、①ワンホール100ヤード内外、②9ホール超、③移動所要1時間強程度を満たすコースが尽きてきた。
 お薦めのショートがあれば是非ご教授願いたい。

h911.jpg  屋上バルコニーに横たわり雨晒しで年々尾っぽから滅びて使い回しの祝いの鯛の如く惨状を呈している鯉幟りを、今年こそは新調しようと久々にトイザらスに赴くものの、数万円規模の御大層なそればかりでは孫が生まれるまで御遠慮したいところである。
 止むなくアマゾンで安物を入手したら今度は思い切り小振りで、結局双方担いで今年も変わり映えせぬ絵柄だった。
 はや七年目の鯉。

5月3日(祝) リカちゃんは50歳   -育児 - パパ育児日記。-

h907.jpg  黄金週間の谷間出社の昨日は午後を町田遠征に充てたが、後半戦の初日は学園祭視察、公資も愈々ターゲットを定めなければならないお年頃になってきた。
 帝都の私立中は長年俗に「御三家」と称されてきたが、今やトップランナーとの差は開くばかりで先頭集団にギリギリ食らい付くポジショニングに位置する、地名を冠する名門校である。
 午後からの出立だったため大半の出し物は数珠繋ぎ、父母手分けして行列のできる教室に並んで何とか洋弓と縁日にあり付き、思い切り身を乗り出して公資は射的に挑む。
 珍しく透いていると思ったら学校の歴史展示で、相模湖遭難事件はじめ文化祭実行委の横領や飲酒騒動など不祥事ばかりが壁新聞宜しく大書されており、政界にも多数卒業生を配しながら噂の真相的なスキャンダリズムな装いは、若き日に陥りがちな気の迷い、左翼被れの現れなのか。喧伝された「茶髪自由」もこの時期のみらしいものの確かに存在していた。
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新しい憲法を推進する制定大会(2011)
 一等地であるが故に惜しむらくは駅から遠い上に周辺街区が広く直線で移動し難いことか。ダイエットには資するのかも知れまいが。

 俄かに憲法改正が政治活動に浮上したのは愈々安倍政治の集大成に挑む意気込みか。衆参三分の二の所謂改憲勢力を維持しながら皆目不如意のままでは立党以来の党是が泣くとの焦りもあろうか。
 ただ耳当たりの良い環境権やらプライバシー権を先行させること無く堂々と9条を掲げた姿勢は頼もしいし、硬性憲法たる96条にも手を付け"普通の国"に脱皮出来れば叶ったりではあるものの、少なくとも憲法とは不磨の大典ではないという当たり前の事実に国民を覚醒させる意義は決して小さくない。真・保守の先達も高天原から見守って呉れるだろう。

5月1日(月) 中乗りさんは何処  -地域情報 - 名古屋・愛知-

h900.jpg  名古屋に在住したのは小学六年からなので祖父母に連れられた下呂温泉を除けば、愛知近隣の観光地は殆ど訪れたことが無い。従って年末の長島然り、今般犬山も新鮮である。
h901.jpg  昨夜に引き続きてんこ盛りの朝食にはカレーきしめんも戴き、一路犬山城へと登城する。城フリークではないので見聞に乏しいが、思いの他狭く感じたのは大阪やら名古屋やらを見慣れた為で、江戸以前から残る国宝の天守閣はこうした規模が当然なのかも知れない。
 最上部の外回廊の周回は小学生期に訪れたピサの斜塔ほどの恐怖感は無かったが、ケアンズのアスレチックを彷彿とさせ、安全規準に煩いわが国らしからぬ仕掛けだったか。


 実は犬山には昨年も一瞬闖入し明治村は賞味済みなので、続くターゲットはモンキーパークと相成った。開場前に到着し、係員氏の「昔は県道まで車が溢れて臨時の職員が交通整理に出向いたものだが」との遠くを見詰める様な述懐にも触れたが、確かに平日の旅とはいえ黄金週間とは思い難いひっそりかん、1962年開業の最寄り駅からの足となっていたモノレールも既に駅舎跡のみの巨大なオブジェと化している。
h902.jpg  しかも俄かに雨足が及び、ずぶ濡れの中に臭気著しい猿と戯れるのは、何故か動物好きの子供達に存外に悪評はないものの、父にとっては苦痛極まり無い。ただ旭山動物園の成功以来、動物を本来の生態のままに来場者と触れ合わせる常套手段はここにも波及しており、連れ立ち雨宿りするワオキツネ猿を一網打尽に撮影出来たのだから何が幸いするかは分かるまい。
h903.jpg  元より猿とその仲間達だけでは幾ら世界各国から集っていても早々に飽きが来て、昼前には切り上げてかの一見さんお断りで名高い名門・蓬来軒の暖簾分けたるひつまぶしの店に急行、父は当然蒲焼き御飯だが、妻子には好評で大枚叩いて消費拡大に貢献したのである。


 犬山探訪はまだ尽きないとは流石に名古屋五摂家・名鉄グループの築いた一大観光地だけあるが、何と無く東武ワールドスクエアの亜流を想像していたら、いきなり猿人・原人・新人の進化の過程を見せられ、成る程モンキーの延長線上かと妙に納得したのがリトルワールドである。
h905.jpg 屋外には諸外国の建物が移築されているという点では寧ろ明治村の同巧異曲なのだが、ペルーやインドの代表的な家屋を並べられても兼高かおる気分には到底及び難く、海外旅行が高嶺の花だった時分の万国博を想起させるものの、今となっては些か子供騙しの域を超えていない。
h904.jpg これだけでは撮影スポットにも乏しいので、気の進まない公資をすっぱいチュウで釣ってアフリカ人に扮してみたが、お着替えおひとり様300円は確かにお手頃とはいえ、もっと思い切りマイナーな新興国家を追加するなりひと捻り欲しいところではあった。
 戦国の世から猿の軍団を経て世界まで、駆け足の時間旅行でした。

4月30日(日) 摩天楼ブルース  -地域情報 - 名古屋・愛知-

h895.jpg  さて明けてこの日はスーツに着替えて豊田市へと向かう。雑魚寝した父母の家から地下鉄に万博のレガシィたる新交通システム・リニモ、更には旧国鉄予定線改メ第三セクター路線と、公共交通機関不毛の地において果たして自動車を用いない移動が如何に大仕事かを実証してみたが、流石に早過ぎて二時間近く前に到着して仕舞った。
 して目的地の豊田スタジアムまでてくてく歩き始めたところ、背後に街宣の音がスピーカーから奏でられる。黄金週間にも拘わらず大義なことと聞き流そうかと思いきや、響き亘る声には聞き覚えがあるではないか。
 実に本日会合の主宰者の御仁がいきなり駅頭に現れたとあらば足を留める他は無いが、幾ら眼を凝らしても辺りに人はいない。やむを得ずそのまま俄か聴衆と化したが、都市部なら定番の駅頭演説もかく宛も無い労苦のひと駒に過ぎないのかと、自動車社会における政治活動の難しさに期せずして直面したのであった。
h897.jpg  ただ程無く旧知の秘書氏も現れ、スタジアムまで事務所車に便乗し、かつ車寄せからの導線確認まで同行して見事随員の本分を果たし得たのだから、行き掛けの駄賃には終わらず早行きはまさに三文の得であったろう。
 お目当ての豊田スタジアムでは華やかにガーデニング・フェスタが挙行されているが、元より園芸振興対策議連の寄り合いにもあらず、上官の会食のアテンダントに他ならない。それでもグラウンド・レベルから天然芝にも触れ、貴賓室から見下ろす眺望と古の大阪球場もかくあらん天外魔境の絶壁擬きの客席も賞味するプチ視察にあり付いたのだから、半日強の休日出勤も役得だったか。迷路の如くスタジアムの内部もまた都市変遷評論家・野球評論家には興味深いものだった。二年後の闘球W杯会場としては、駅までの微妙な距離感が大量の搬送において若干ながら懸念はされるものの。

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 病院にとって返して一家と合流しここからは再び黄金週間モード、犬山市へと向かった。
 敢えて名鉄の牙城にも拘わらず木曽川を超えた対岸の岐阜県側に宿を定めたのは「家族風呂」に牽かれたからであったが、その予約を巡りひと悶着あったのは温泉街としての凋落振りを体現するホスピタリティーの減退故だったのかも知れない。
 ただそれを除けば山の幸のみならず中部地方らしいと言うべきか味噌料理に海老フライと夕食も盛り沢山だったし、谷間の休前日外とはいえ合理的なお値段設定だったろう。温泉宿らしい卓球台こそ存在しなかったものの、カラオケにも興じ、夜半の露天風呂から遠く眺めるライトアップされた犬山城も乙なものだったのではないか。

4月29日(祝) 湯~とぴあ宣言  -地域情報 - 名古屋・愛知-

h891.jpg  父母の入院加療を受け黄金週間は名古屋の父母の家に業者を招聘してゴミの廃棄に始まる。それだけでは余りに味気無いので見舞いを経て向かうは名古屋城、一同失念していたが三年振りの再訪であった。生憎の豪雨も程無く晴れ上がり、三選間もない市長肝煎りの木造天守閣再建に先立ち復元された本丸御殿にも闖入するが、いざ鉄筋の天守閣に再入城して祐旭の記憶を甦らせたのが石引きの再現ギミックとは、戦後の構造物の見世物的な要素もすっかり歴史の域に至っていることを実感させる。
h892.jpg  ただほぼ行き当たりばったりのこの日の行程で次いで及んだのがスーパー銭湯とは意外な展開だったろう。そもそも風呂嫌いではなくとも取り分け露天を好まない妻との嗜好は必ずしも一致しないところ、わざわざラバーまで張り替え新装したラケット持参の執念が卓球場を発見させ、前日千住まで遠征した後に全日空ホテルで一時間立ち尽くし、棒になった足が久方振りにマッサージを求める父の思惑が合致したのである。
 荻窪にも同じネーミングの風呂が存在するが、勿論同系列ではなくトマス・モアの理想郷を「湯」に準えるのは全国津々浦々考えることは同じという証しだろうか。
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 周辺環境は必ずしも芳しくはなさそうだが中は文字通り極楽で、公資は早速「大願成就の湯」に身を浸して「まだ志望校も決まってないけど」と呟きながら、先の組替え試験では二場所振りに大関からの陥落が決まったわが身を奮い立たせていた。
 浴衣と作務衣の中間の様な装束に身を包み、夕食の後は卓球の予約まで寝転んで漫画三昧とは黄金週間に相応しい怠惰なひと時である。翻って久々に見学した母子三者のピンポンは流石に鍛練の賜物、一打一打に見事回転が掛かってトップすることなく立派にラリーの応酬が繰り広げられているではないか。今更の参画は到底叶わない父は一路揉まれ部屋に急行したのである。急拵えの割りには盛り沢山の初日だったか。

4月25日(火) 譬喩と演技  -政治・経済 - 政治・経済・時事問題-

h888.jpg  怒濤の四月が漸くひと山超えて黄金週間まで余すところ数日、強靭な派閥の講演会を拝聴する。出遅れて座席も確保出来ず、正直に言って余り抑揚の無い淡々とした内容に聞き流していただけで、米寿の金馬師匠の落語がお口直しの感があったが、同じホテルでの懇親会にて呑んだくれている内に事態は風雲急を告げていたのである。
 勿論、言葉狩りを憂うには余りに直裁な物言いには違いないが、そもそもがお経読みに近い講演の中で数少ない本人の声が伺えた部位が失言に帰結するとは皮肉であろう。
 嘗ての「生む機械」や「暴力装置」にも多分にそのきらいはあったが、詰まるところ話し言葉を活字に起こした際の印象の相違が作用している要素も小さくはないし、かく鵜の目鷹の目で狙われては当意即妙なアドリブの面白味は益々望むべくも無くなるだろう。
 何よりも敢えて譬喩的な言葉を用いるには相当な注意を払わなければならないのでは、再三述べている様に椎名外相が「米国は番犬」と豪語したのを指摘され「番犬さま」と訂正して議事堂が笑いに包まれた様な光景は二度と訪れまいし、長ずれば言論そのものの減退に繋がりかねまい。今般発言の非を充分に認識しつつも、敢えて警鐘を鳴らさざるを得ないのではないか。
 しかしながら永田町周辺居住者としては注意力散漫以外の何物でも無かった。この点に付いては猛省したい。

4月19日(水) クワマンダーを問う  -政治・経済 - 政治・経済・時事問題-

h889.jpg  19世紀に自らに有利な選挙区割りを作った知事の名とその形状が蛇に似たことから双方を併せた造語が、恣意的な区割りを意味するゲリマンダーである。
 元より今般は寧ろ機械的な数合わせが疑問視される位だからそうした批判は当たらないものの、減員区における自民党内の熾烈な選挙区争い以上に、着目すべきは余りにも多数行政区が千々に分散されたことだろう。
 勿論、区割り審の労苦は窺われ、例えばわが杉並東京八区は方南地区を割譲しているが、環七の東は生活圏が異なるという小学生期からの個人的な実感にも則しているし、埼玉で電車や河川を線引きに用いているのも恐らくは同じ文脈に基づくものだろう。
 ただ結果だけ眺めてみれば、全25中無傷で済んだのは4区のみという東京都では、昭島が切り離され新たに国立が加わる21区の様に入れ子の玉突きすら生じている。就く全国一複雑になったのが東京七区であり、そもそも中選挙区制下の東京四区、即ち中野・杉並・渋谷三区時代から東西に比べ南北の移動手段に乏しい東京西部特有の、実面積以上に縦長の悲哀が痛感される選挙区だったが、従来の中野・渋谷から中野区の北部が消えた替わりに、前述の杉並に加え品川、目黒両区の北部が追加され、実に五特別区に跨がる長細い形容はまさにクワマンダーの象徴である。
 この結果東京23区はうち15区が分割される形となり、最早自治体と選挙区は全く別物の有り様である。確かに最大1.1倍までに厳格化された英国を筆頭に行政区を考慮しない機械的な数合わせを肯定するのが世界的潮流ではあるし、アファーマティヴ・アクションで人種割にも配慮する米国の様な与件はわが国には存在しない。
 しかしながらその是非は別として国会議員が国民代表性とともに地域代表性を色濃く有するわが国においては、分割された地域は複数の地域代表への関与を余儀無くされ小選挙区制のメリットが台無しであるし、しかも今回は暫定措置に過ぎず五年後には47都道府県に一議席ずつ貼り付けてから議席配分を行う一人別枠方式を根元から改めることにより都市部は増員が必須とあらば、今回拡大された選挙区は再び切り離される蓋然性が高く、囁かれる任期満了に限り無く近い総選挙が実現すれば今般改正の賞味期限は当該一回のみに終わる可能性すら秘めている。
 都市部住民の声を正当に反映させるべく一票の格差是正自体には賛同したいが、長年培われた過去の経緯を重んじつつ変革を試みるならば、寧ろ自治体を小選挙区毎に再編成する位の地方自治制度そのものの大幅な見直しが必要なのではなかろうか。

 区割り案の勧告は総理の解散権を縛らないと改めてのアナウンスが囂しいが、その喧伝自体が制約を物語っていよう。元よりそれは首相が専権事項として解散権を行使出来るとの前提に基づいているが、必ずしも自明ではなかったのは現行憲法下初の解散となった昭和23年において、解散は内閣不信任案成立を受けた69条に限られるのか、或いは天皇陛下の国事行為に列挙された7条のみに基づくことが可能なのかの解釈が定まらず、形式的に不信任を成立させ、解散の詔勅に7条及び69条に依ると記載されたことからも明らかである。
 英国においては2011年の法改正で解散権の行使は内閣不信任成立時と下院の三分の二の同意を得た際と明示的に制限されたが、今般の解散は野党に有利とは言い難いにも拘わらずEU離脱という国家の枠組みの大きな変更を受けるとの大義名分のもとに、ほぼ全会一致で話し合い解散が認められた。この決定に矢張り首相の解散権を尊重すべきとの配慮が働いたのだとすれば、新たな一石を投じたとも言えよう。
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